Sustainable Stories
サステナブル・ストーリー/
ナガセヴィータのWebマガジン
06Story
2023.12.13
迫り来る「物流2024年問題」を見据えて持続可能な物流の実現を目指す運送会社
必要なものが必要な人のもとに届くのは、「物流」の力があってこそ。暮らしに欠かせない役割を果たす物流業ですが、近い将来、「物流2024年問題」と呼ばれる、ドライバー不足による輸送力の低下が懸念されています。この変化を乗り越え、会社も業界もよりよい形で存続していくために意識をもって行動している、静岡県富士市の運送会社を紹介します。
Copyright: shawnccf
製品の容器が不要で環境にやさしいローリー輸送
必要なものが必要な人の手に届く、そんな当たり前の日常を縁の下で支えているのが、「物流」の仕事です。ナガセヴィータ(Nagase Viita)のような素材メーカーにとっても、物流は生命線。適正コストで安全・確実な輸送体制を構築することは、よりよい製品を作ることと同様に重要です。またコストの問題だけでなく、企業の責任として、輸送時の環境負荷低減にも努めなくてはなりません。
そこで当社の物流部門においても、輸送コスト低減とサステナビリティを両立する、さまざまな取り組みをおこなっています。例えば、JRコンテナの活用、帳票類のペーパーレス化、リサイクルが可能な包材への転換などできる限りの策を講じていますが、そのひとつに、液状製品(水あめ)のタンクローリー輸送があります。
当社工場で製造した水あめをお客さま(食品製造工場など)に配送する場合、缶などの容器に詰めて一般トラックで運ぶ方法と、タンクローリーに直接水あめを入れて運ぶ方法があります。
ローリー輸送は、ある程度大口のお客さまでなければ難しい点がありますが、容器の使用も、詰め替える手間も削減でき、効率よく大量に運べる方法です。そこで、お客さまにも協力をいただきながら、できるだけローリー輸送の比率を高められるよう取り組んでいます。
その水あめのローリー輸送について、東日本エリアを担当していただいている運送会社が、静岡県富士市を拠点とするミナト流通サービスグループの東和通商さまです。
数ある運送形態のなかでも、厳しい衛生管理が求められる液状食品(水あめの他、飲料水や酒、みりんなど)のローリー輸送に特化し、太平洋ベルトの5つの拠点から日本全国へ安定した輸送をおこなっている東和通商は、当社にとって大切なパートナーのひとつ。業界の将来や社会環境に対して高い意識をもって向き合い、持続可能な経営を目指してさまざまな取り組みをおこなっている企業です。
そこで当社の物流部門においても、輸送コスト低減とサステナビリティを両立する、さまざまな取り組みをおこなっています。例えば、JRコンテナの活用、帳票類のペーパーレス化、リサイクルが可能な包材への転換などできる限りの策を講じていますが、そのひとつに、液状製品(水あめ)のタンクローリー輸送があります。
当社工場で製造した水あめをお客さま(食品製造工場など)に配送する場合、缶などの容器に詰めて一般トラックで運ぶ方法と、タンクローリーに直接水あめを入れて運ぶ方法があります。
ローリー輸送は、ある程度大口のお客さまでなければ難しい点がありますが、容器の使用も、詰め替える手間も削減でき、効率よく大量に運べる方法です。そこで、お客さまにも協力をいただきながら、できるだけローリー輸送の比率を高められるよう取り組んでいます。
その水あめのローリー輸送について、東日本エリアを担当していただいている運送会社が、静岡県富士市を拠点とするミナト流通サービスグループの東和通商さまです。
数ある運送形態のなかでも、厳しい衛生管理が求められる液状食品(水あめの他、飲料水や酒、みりんなど)のローリー輸送に特化し、太平洋ベルトの5つの拠点から日本全国へ安定した輸送をおこなっている東和通商は、当社にとって大切なパートナーのひとつ。業界の将来や社会環境に対して高い意識をもって向き合い、持続可能な経営を目指してさまざまな取り組みをおこなっている企業です。
▲タンクローリー車はステンレス魔法ビンのような断熱構造を持ち、液状食品素材を効率良く大量に運ぶことができる。右はミナト流通サービスグループのタンクローリー車第一号。
一人ひとりの意識によって、燃費の差は歴然
東和通商が全社を挙げて取り組む活動のひとつに、「エコドライブ活動コンクール」への参加があります。
このコンクールは、環境に配慮した自動車利用を推進する事業者を表彰するもので、社内での推進活動や、燃費データ、取り組みの成果などが審査されます。
毎年、全国約1000事業所の応募がある中、東和通商は参加翌年の2017年から優良賞、2020年から優秀賞(2位相当)と、7年連続で受賞(それぞれ受賞2年目以降は「認定」扱い) 。2023年の授賞式では自社の取り組みについての発表を行いました。さらにトップ1社のみに与えられる国土交通大臣賞を目指して、活動を続けています。
このコンクールは、環境に配慮した自動車利用を推進する事業者を表彰するもので、社内での推進活動や、燃費データ、取り組みの成果などが審査されます。
毎年、全国約1000事業所の応募がある中、東和通商は参加翌年の2017年から優良賞、2020年から優秀賞(2位相当)と、7年連続で受賞(それぞれ受賞2年目以降は「認定」扱い) 。2023年の授賞式では自社の取り組みについての発表を行いました。さらにトップ1社のみに与えられる国土交通大臣賞を目指して、活動を続けています。
▲石川雄庸様(東和通商株式会社社長・ミナト流通サービス株式会社専務)
多忙なドライバーたち一人ひとりにエコドライブの意識を浸透させ、行動してもらうことは容易ではありませんが、同社を率いる石川雄庸社長は、「その点は昔からきっちりやっているので、うちのドライバーたちなら、普段通りで受賞のレベルだという自信はありました。それでも参加することにしたのは、日々安全運転をしてくれているドライバーたちに感謝の気持ちを表したい、一人ひとりの努力に光を当てる場を作りたいと思ったからです」と話します。月間で満点の運転ができたドライバーには、「100点ありがとう賞」として社内表彰。「ありがとう」の語には、社長の思いがこもっています。賞品にあえて重いお米を贈っているのは、形のあるものを持って帰り、ご家族も一緒に喜んでもらいたいという願いからだそうです。
▲第44期(2023年度)経営計画発表会
「ドライバーはシャイな人が多いですから、最初は照れくさがっていましたけど、やっぱり大勢の前で褒められることは、人間誰しも気分のいいもの。賞を励みに、これからもいい仕事をしようと思ってくれることが一番うれしいですね」と、石川社長。当初、100点満点は滅多に出ませんでしたが、表彰や拍手を続けるうちに不思議と「次は自分も」という意識が広がり、受賞者は年々増えているといいます。誰もが働きやすく、地域に役立つ企業を目指して
地域貢献活動として、富士市内における小中学生の交通事故発生状況を、Googleマップのマイマップ機能を利用して公開しています。これは、他の自治体が公開しているのを石川社長が見つけ、富士市でも同様のものを作れるよう、すぐに行動を起こして実現したものだそう。警察が公開している事故情報を自社で独自にデータ化し、市内の小中学校・園での交通安全活動に役立てています。
また災害発生時には、自治体や大手量販店さまからの要請で給水支援をおこなっています。これまで静岡市をはじめ、新潟県や宮城県、和歌山県、秋田県などに給水車両と人員を派遣しました。
グループ社内においては、近年は特に女性の採用を積極的に進めています。業界的に、長く男性主体の職場環境が続いていましたが、女性専用のトイレやシャワー室などを新たに設置し、受け入れ態勢を整備。現在、全社員中の女性比率は、事務スタッフで約25%、ドライバーは約7%となっています。
「業界内では比率は高いほうですが、それでもまだまだ。女性ドライバーをせめて1割以上にしたいですね」と石川社長は話します。
また災害発生時には、自治体や大手量販店さまからの要請で給水支援をおこなっています。これまで静岡市をはじめ、新潟県や宮城県、和歌山県、秋田県などに給水車両と人員を派遣しました。
グループ社内においては、近年は特に女性の採用を積極的に進めています。業界的に、長く男性主体の職場環境が続いていましたが、女性専用のトイレやシャワー室などを新たに設置し、受け入れ態勢を整備。現在、全社員中の女性比率は、事務スタッフで約25%、ドライバーは約7%となっています。
「業界内では比率は高いほうですが、それでもまだまだ。女性ドライバーをせめて1割以上にしたいですね」と石川社長は話します。
▲2022年9月発生の台風15号の影響による断水に対する給水支援活動(静岡市)
変化に備え、少しでもできることから
こうしたサステナビリティを意識した取り組みの背景には、物流業界が直面する「物流2024年問題」があります。
「物流2024年問題」とは、2024年4月以降、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限を960時間とする規制が設けられることによって生じる、数々の問題を指すもの。長時間勤務が減る反面、物流業社の売上もドライバーの収入も減少し、日本全国の輸送能力は大幅に不足することが予想されています。
この問題に対しては、今のうちからできる限りの効率化と人材の掘り起こしを進めていくほかありません。
特にローリー輸送は、1品輸送するごとにタンク内の洗浄作業が必要となるため、荷物を下ろしてすぐに別の荷物を積んで帰れる一般トラック輸送と異なり、復路は空車(積荷のない状態で走ること)になることがほとんどです。空車率が増えれば運送会社は利益が出せず、荷主の運賃負担が増して製品の価格にも影響するため、いかに空車を減らして効率よく稼働させるかが、運送会社・荷主・お客さまの三者に関わる重要なカギとなります。
ナガセヴィータでも、自社でタンクの洗浄ができるよう高性能な設備を備えたり、ニーズをうまくマッチングできるよう運送会社と密に情報を共有したりと、空車率の低減に積極的に取り組んでいます。
「物流2024年問題」とは、2024年4月以降、自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限を960時間とする規制が設けられることによって生じる、数々の問題を指すもの。長時間勤務が減る反面、物流業社の売上もドライバーの収入も減少し、日本全国の輸送能力は大幅に不足することが予想されています。
この問題に対しては、今のうちからできる限りの効率化と人材の掘り起こしを進めていくほかありません。
特にローリー輸送は、1品輸送するごとにタンク内の洗浄作業が必要となるため、荷物を下ろしてすぐに別の荷物を積んで帰れる一般トラック輸送と異なり、復路は空車(積荷のない状態で走ること)になることがほとんどです。空車率が増えれば運送会社は利益が出せず、荷主の運賃負担が増して製品の価格にも影響するため、いかに空車を減らして効率よく稼働させるかが、運送会社・荷主・お客さまの三者に関わる重要なカギとなります。
ナガセヴィータでも、自社でタンクの洗浄ができるよう高性能な設備を備えたり、ニーズをうまくマッチングできるよう運送会社と密に情報を共有したりと、空車率の低減に積極的に取り組んでいます。
業界の激変期を乗り越え、社会を支える物流サービスを存続させるために、コストと労力を惜しまずさまざまな取り組みを進めるミナト流通サービスグループ東和通商。その根底には、先代から脈々と受け継がれてきた「感謝の心・信じる心・奉仕の心」との経営信条があるといいます。
「特に運送は人ありきの業界ですから、やっぱり『人』を大切にすることが一番。この先も、働く人みんながよい未来を描ける会社でありたいですね」と石川社長は話します。
当社としても、これまで以上に運送会社さまとのつながりを大切に、しっかりと手を取り合ってこの問題に向き合っていきたいと考えています。
「特に運送は人ありきの業界ですから、やっぱり『人』を大切にすることが一番。この先も、働く人みんながよい未来を描ける会社でありたいですね」と石川社長は話します。
当社としても、これまで以上に運送会社さまとのつながりを大切に、しっかりと手を取り合ってこの問題に向き合っていきたいと考えています。
東和通商株式会社
- ●社員のエンゲージメント向上にもつながる「エコドライブ活動コンクール」への参加
- ●地元富士市の幼稚園・小中学生交通事故マップを作り、こどもの交通安全教育に貢献
- ●自治体からの要請で災害発生時における給水支援で地域貢献
- ●積極的な女性の採用