Exploring oligosaccharide effects on wheat starch gelatinization: Mechanisms and oligosaccharide structural perspectives
オリゴ糖が小麦澱粉の糊化に与える影響の探索:そのメカニズムとオリゴ糖構造の観点から
- Noriaki Kitagawa*1,*2, Bruce R. Hamaker *1, Lisa J. Mauer*1
- *1 Department of Food Science, Whistler Center for Carbohydrate Research, Purdue University, 745 Agriculture Mall Drive, W. Lafayette, IN, 47907, USA
- *2 Research, Technology & Value Creation Division, Nagase Viita CO., LTD., Okayama, Japan
澱粉の糊化を制御することは、望ましい食品デザインを達成するために不可欠であり、オリゴ糖(OS)は澱粉の糊化温度(Tgel)に大きな影響を与える。本研究では、スクロース、マルトテトライトール、およびグリコシド結合パターン、重合度(DP)、直鎖状または環状構造の異なる10種類のグルコース系OSが小麦澱粉のTgelに及ぼす影響について掘り下げた。本研究の目的は、OSがTgelを変化させる根本的なメカニズムを明らかにすることであり、焼成食品の糖質低減のためのOSの設計と使用を支援することに繋がる。試験の結果、OSの濃度と種類の両方がTgelに顕著な影響を与えることが明らかになった。OS濃度の増加はTgelの上昇をもたらし、水分活性および有効水量分率(φw,eff)の変化と密接に関連していた。同じDP OSの中で、溶質の単位体積あたりの水素結合に利用可能な水酸基の有効数(NOH,S/Vs)が高いほど、Tgelの上昇に対応した。これは、OS中の水酸基密度が高いほど、OSと澱粉間の水素結合形成の数が増え、構造が安定化することを示している。特に注目すべき点は、イソマルトース(α-1,6結合)はNOH,S/Vsが低いが、他のDP2 OSであるトレハロース(α-1,1結合)、コージビオース(α-1,2結合)、マルトース(α-1,4結合)よりも有意にTgelを上昇させたことである。これは澱粉のアンチプラスチック化(アンチ可塑化効果)において、OS構造の柔軟性が重要であることを強調している。この研究は、OSの構造が澱粉のTgelに与える影響を深め、食品設計や新素材開発に役立つ知見を提供する。