Publications

論文リスト

カテゴリーから探す

2023

  • 食品

    Synthesis of Isomaltooligosaccharides using 4-O-α-D-isomaltooligosaccharylmaltooligosaccharide 1,4-α-isomaltooligosaccharohydrolase

    4-O-α-D-isomaltooligosaccharylmaltooligosaccharide 1,4-α-isomaltooligosaccharohydrolaseを用いたイソマルトオリゴ糖の合成

    Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry. 2023 Sep, 87(12):1495-1504

    • Noriaki Kitagawa, Hikaru Watanabe, Tetsuya Mori, Yuki Kawauchi, Hajime Aga, Shimpei Ushio, Koryu Yamamoto

    イソマルトオリゴ糖(IMO)は、整腸作用を主とし、有用な糖質であることが知られている。これまでに多くの研究者が、IMOを効率的に合成する手法を開発しようと取り組んできたが、それらは十分なものとは言えない。私達は、IMOの効率的な合成方法確立に寄与しうる酵素として4-O-α-D-isomaltooligosaccharylmaltooligosaccharide 1,4-α-isomaltooligosaccharohydrolase (IMM-4IH)をこれまでに取得し、その性質について報告してきた。ここでは、澱粉を原料とし、IMM-4IHを用いたIMOの合成方法を検討した。IMM-4IHとBacillus globisporus N75由来1,4-α-glucan 6-α-glucosyltransferaseを用いることで、イソマルトースを効率的に合成できることが分かった。また、IMM-4IHとPaenibacillus sp. PP710由来1,4-α-glucan 6-α-glucosyltransferaseを用いることで、重合度2-10のIMOを効率的に合成できることが分かった。これらの新規合成手法は、より高純度のIMOを安価に製造でき、甘味料、物性改良剤、及び整腸作用を活かした機能性表示食品の開発などに広く応用が広がることが期待される。

  • その他

    Cloning and sequence analysis of 4-O-α-D-isomaltooligosaccharylmaltooligosaccharide 1,4-α-isomaltooligosaccharohydrolase from Sarocladium kiliense U4520

    Sarocladium kiliense U4520由来4-O-α-D-isomaltooligosaccharylmaltooligosaccharide 1,4-α-isomaltooligosaccharohydrolase 遺伝子のクローニングと配列解析

    Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry. 2023 Feb 24;87(3):330-337

    • Noriaki Kitagawa, Hikaru Watanabe, Tetsuya Mori, Hajime Aga, Shimpei Ushio, Koryu Yamamoto

    私達はこれまでに、Sarocladium kiliense U4520由来新規酵素4-O-α-D-isomaltooligosaccharylmaltooligosaccharide 1,4-α-isomaltooligosaccharohydrolase (IMM-4IH)について報告した。IMM-4IHの特徴的な基質特異性を生む要因を明らかにするために、本酵素のアミノ酸配列決定を行った。本酵素の部分アミノ酸配列データとS. kiliense U4520株の全ゲノム配列決定データからIMM-4IH遺伝子を推定し、組み換え発現試験にて酵素活性を確認することで、IMM-4IH遺伝子配列を決定した。アミノ酸配列情報から、IMM-4IHは配糖体加水分解酵素ファミリー49(GH49)に分類された。また、触媒作用や特徴的な基質特異性に関与すると考えられるアミノ酸配列が推定された。

  • 植物

    Application of Trehalose Mitigates Short-Styled Flowers in Solanaceous Crops

    トレハロース施用はナス科作物の短花柱花の発生を抑制させる

    J. Agric.FoodChem.2023,71, 5476−5482

    • Izumi C. Mori*1, Takakazu Matsuura*1, Masahiro Otao, Lia Ooi, Yasuyo Nishimura, and Takashi Hirayama*1
      • *1 Institute of Plant Science and Resources, Okayama University,Kurashiki 710-0046, Japan
      • *2 Facultyof Agriculture and MarineScience, Kochi University, Nankoku 783-8502, Japan

    二糖類であるトレハロースは、ストレス耐性や作物生産を高めることを目的として、農家によってしばしば葉面散布されている。しかし、トレハロースの作物への生理的影響については不明な点が多い。ここでは、トレハロースの葉面散布がナスとトマトの雌しべの長さに及ぼす影響を調べた。トレハロース施用は、花柱を伸長させることで雄しべに対して、雌しべを長くさせた。2つのグルコース分子からなる別の二糖類、マルトースは、トレハロースと同様の効果を示したのに対し、単糖類であるグルコースは効果を示さなかった。トレハロースはトマトの根を介した取り込みや根圏との相互作用を通じて花柱長に影響を与えるが、新梢による吸収は影響を与えないことがわかった。我々の研究結果は、ストレス条件下でのトレハロース施用によるナス科作物の収量向上は、短花柱花の発生抑制によってもたらされることを示唆している。本研究は、トレハロースがナス科作物の短花柱花の発生を抑制する、植物バイオスティミュラントとして作用する可能性を示唆している。

  • 医療

    Beneficial effects of Trehalose on Mesenchymal Stem Cell-derived Exosomes: A very effective tool in the industrial use of exosomes

    間葉系幹細胞由来エクソソームに対するトレハロースの有益な効果: エクソソームの産業利用における非常に有効なツール

    Journal of Community Medicine and Public Health Reports, vol.4, 2023

    • Hitomi Wake, Keizo Kohno, Satomi Koya-Miyata, Kotaro Hashimoto, Hajime Kusano, Takashi Morimoto, Yosuke Shimojo, Toshio Ariyasu, Kanso Iwaki
    • Pharmaceutical Ingredients Department, Personal Healthcare Division, Hayashibara Co., Ltd.

    本研究では、ヒト脂肪由来間葉系幹細胞から放出されるエクソソームの数と性質に対するトレハロースの影響を調べた。トレハロースがエクソソームの製造、精製、保存のすべての工程に適した添加剤であるという知見は、トレハロースがエクソソームの産業応用に有望なツールであることを示している。さらに、この結果は、本研究で示された分離および保存方法が、エクソソームの治療応用を促進できることを示唆している。

  • 医療

    Oxygen Nanocarriers for Improving Cardioplegic Solution Performance: Physico-Chemical Characterization

    心筋液の性能を向上させる酸素ナノキャリア: 物理化学的特性評価

    Int. J. Mol. Sci. 2023, 24, 10073.

    • Maria Tannous*1,2,3 , Gjylije Hoti*1 , Francesco Trotta*1,, Roberta Cavalli*2, Takanobu Higashiyama, Pasquale Pagliaro*3 and Claudia Penna*3
      • *1 Department of Chemistry, University of Turin, 10125 Turin, Italy;
      • *2 Department of Drug Science and Technology, University of Turin, 10125 Turin, Italy;
      • *3 Department of Clinical and Biological Sciences, University of Turin, 10043 Orbassano, Italy;

    CNNナノスポンジは優れた酸素飽和能(8.57㎎/L)を示し、緩やかな酸素徐放性も示した。この結果はCNNナノスポンジが臓器移植の際、心臓を輸送する際の酸素飽和心筋保護液として利用できることが示唆された。

2022

  • 植物

    Trehalose-6-phosphate as a new bioactive material for plant growth enhancement/agricultural application

    トレハロース-6-リン酸のバイオアクティブ素材としての可能性

    アグリバイオ 6(5), 37-41 (2022)

    • 黄 麗雅(Ooi Lia), 大垰 勝寛 (Otao Masahiro)

    トレハロース6-リン酸(T6P)は植物体内で生合成され,種々の生理シグナルとして機能すると考えられている。これまでの知見は,主に内生のT6P量を増減させた研究の成果に基づいており, 植物体に外的施用した報告例は少ない。本研究では化学合成したT6Pをシロイヌナズナに外的施用し, 遺伝子発現に及ぼす効果を解析した。その結果, トレハロース生合成やデンプン貯蔵に関連するとされる数種の遺伝子において, 内生T6P量変化の場合と類似した変動が確認された。これにより, T6Pの農業分野におけるバイオアクティブ素材としての可能性が示された。

  • その他

    アデニングルコシド―“単純不可解”な配糖体

    生物工学会誌, 100(8), 450 (2022)

    • 光川 侑輝
    • 株式会社林原
  • 食品

    Effects of Trehalose Solutions at Different Concentrations on High-Intensity Intermittent Exercise Performance

    異なる濃度のトレハロース溶液が高強度間欠運動パフォーマンスに及ぼす影響

    Nutrients 2022, 14(9), 1776; https://doi.org/10.3390/nu14091776

    • Naomi Hamada*1,*2, Tsuyoshi Wadazumi*1, Yoko Hirata*1,*3, Hitoshi Watanabe*4, Nobuko Hongu*5 and Norie Arai
      • *1 Graduate School of Health and Well-Being, Department of Health and Well-Being, Kansai University
      • *2 Department of Applied Food Science, Higashiosaka Junior College
      • *3 Department of Food and Nutritional Science, Kobe Women’s Junior College
      • *4 Research Center for Urban Health and Sports, Osaka Metropolitan University
      • *5 Graduate School of Human Life Science, Department of Food and Human Life Science, Osaka Metropolitan University

    運動中に摂取したトレハロース溶液は、グルコース溶液と比較して、緩やかな血糖値上昇とインスリン分泌を誘導する。トレハロース溶液は、長時間の運動終盤のパフォーマンス維持をサポートするが、トレハロースの特性が発揮される最小濃度を明らかにするため、本研究を行った。トレーニングを受けた健康な男性大学生は、12時間の絶食後、自転車エルゴメータを用いて60分間の40%VO2ピークの定常負荷運動を行い、さらに、30分間の40% VO2 peak定負荷運動を挟んで4セットのWingateテストを実施した。試験飲料は最初のwingate test後に500 mL摂取し、試験1では、水、8%グルコース溶液、6%または8%トレハロース溶液の比較を、試験2では、4%と6%濃度のトレハロース溶液の比較を行った。試験はクロスオーバー試験とし、各飲料の比較は7日から12日の間隔をおいて行った。運動パフォーマンスはWingateテストの平均パワー値で評価した。5時間といった長時間の高強度間欠型運動において、8%, 6% および4%のトレハロース溶液摂取間に、運動終盤のパフォーマンスの差は認められなかった。この結果は、トレハロースが新しいタイプの糖質混合飲料の調製に有用であることを示唆する。

  • 医療

    Inhibition of TRPV2 Channel Activation by NK-4, a Cryptocyanine Dye

    クリプトシアニン色素NK-4によるTRPV2チャネル活性化抑制作用

    YAKUGAKU ZASSHI 142(5), 535-546 (2022); https://doi.org/10.1248/yakushi.21-00219

    • 宮田(古谷)聡美、河野惠三、森元崇史、原島 哲、岩田裕子*、有安利夫
    • * 国立循環器病センター研究所

    細胞には細胞内外の温度、pHや浸透圧の変化等の物理的変化および化学的な刺激を感知して直接的に活性化され、Ca2+イオンを流入させることによりその刺激を細胞内へ伝えて適応させるtransient receptor potential (TRP)チャネルと呼ばれるイオンチャネル型受容体が存在する。TRPV2はそのサブファミリーの1つであり、生体内の多くの臓器や細胞で発現が確認されている。TRPV2は肥満細胞にも発現しており、熱刺激や機械的刺激による脱顆粒反応に関与する。一方で、拡張型心筋症や筋ジストロフィー症などの難治性変性疾患では、持続的なTRPV2活性化を介した細胞内Ca2+濃度の上昇がこれらの疾患の病因に関与することが報告されている。最近「錠剤ルミン🄬A」の主要な有効成分であるNK-4がマウスTRPV2の活性化を抑制することや、拡張型心筋症発症ハムスターへのNK-4の経口投与により心機能の改善が見られたことが報告されている。しかしながら、NK-4がヒトTRPV2の活性化を抑制するかどうかは分かっていなかった。
    今回我々は、ヒトTRPV2発現細胞を用いて、NK-4がその活性化をマウスTRPV2に対するよりも1/74の低濃度で抑制することや、TRPV2アゴニスト刺激による肥満細胞の脱顆粒反応も一般の抗アレルギー薬よりも低濃度で抑制することを見出した。
     これらの結果は、NK-4が物理性蕁麻疹のみならず、拡張型心筋症等のTRPV2の機能的な活性化が病因として考えられる疾患に対する有効な治療剤、あるいはリード化合物となり得ることを示唆するものである。

  • パーソナルケア

    Development and Functions of Sustainable Bio-sugar Ingredients Utilizing Microorganisms and Enzymes

    微生物と酵素を活用した持続可能なバイオ糖原料の開発と機能

    IFSCC Magazine 25(3), 2022, 179-186

    • Kotaro Hashimoto, Masahiro Otao, Satomi Koya-Miyata, Yui Sunada, Yuki Mitsukawa, Shimpei Ushio*, Jiro Kishimoto
    • * NAGASE & Co., Ltd. Tokyo, Japan

    個人、集団問わずサスティナブルな社会の実現のための行動が叫ばれる現在、資源循環型の経済活動(例:カーボンニュートラル)を実現する手段としてバイオテクノロジーに対する注目はいや増している。林原では1935年以来、澱粉を主原料として微生物及び酵素を用いた低環境負荷のモノづくりに取り組んでいる。概してバイオテクノロジーは効率性の観点で従来的な有機化学工業に劣るが、微生物育種、反応最適化、その他多岐にわたる生産手法の改良によって産業化に耐えうる大量生産を実現してきた。林原では糖及び配糖体を中心に、安全性が高くハンドリング性にも優れたパーソナルケア素材を開発して市場に供給している。そのうち、酵素法で製造されるAscorbic acid 2-glucoside, 糖転移ヘスペリジン、グルコシルナリンギン、トレハロース、イソマルトオリゴ糖及び発酵法で生産されるプルラン、エルゴチオネインについて、これらの物理化学的特徴、香粧品機能と共にサスティナビリティ実現への寄与について紹介する。将来的な素材開発においては局所的な美容効果だけでなく、皮膚及び全身の恒常性維持への貢献(ホリスティックビューティー)の実現及び原材料におけるリサイクル・アップサイクルの促進が重要な指標になると予期している。

  • その他

    Discovery of a novel glucanohydrolase, 4-α-isomaltooligosylglucose 4-glucanohydrolase, that can be used for efficient production of isomaltose

    イソマルトースの効率的生産に応用可能な新規糖質加水分解酵素4-α-isomaltooligosylglucose 4-glucanohydrolaseの発見

    Carbohydrate Research 517 (2022) 108578

    • Noriaki Kitagawa, Hikaru Watanabe, Tetsuya Mori, Hajime Aga, Shimpei Ushio, Koryu Yamamoto

    私たちは、イソマルトースを効率的に製造するために必要な新規糖質加水分解酵素を発見した。Sarocladium kiliense U4520株由来の当酵素を4-α-isomaltooligosylglucose 4-glucanohydrolaseと命名した。当酵素は、基本的にはパノースモチーフ(α-D-Glcp-(1 → 6)-α-D-Glcp-(1 → 4)-D-Glcp)を認識し、α-1,6-グリコシド結合に対して還元末端側のα-1,4-グルコシド結合を加水分解する。しかし、パノースモチーフの非還元末端側の構造が基質の認識に重要であり、既報の酵素とは基質特異性が異なる。当酵素のパノースに対するkcat/Km値は31.2 s-1mM-1であること、アノマー反転型酵素であることが分かった。当酵素のこれらの特性は、Bacillus globisporus N75株由来1,4-α-glucan 6-α-glucosyltransferaseとの組み合わせにより、澱粉を原料としたイソマルトースの効率的な生産に適していることを示唆した。

2021

  • 食品

    Effect of isomaltodextrin on dough rheology and bread quality

    イソマルトデキストリンが生地のレオロジーとパンの品質に及ぼす影響

    International Journal of Food Science & Technology / Early View First published: 17 December 2021

    • Fang Fang*1-2, Aminata Diatta*1-2, Senay Simsek*3, Pablo Torres-Aguilar*1-2, Hikaru Watanabe, Takanobu Higashiyama, Osvaldo H. Campanella*1*4, Bruce R. Hamaker*1-2
      • *1 Whistler Center for Carbohydrate Research, Purdue University
      • *2 Department of Food Science, Purdue University
      • *3 Department of Plant Sciences, North Dakota State University
      • *4 Department of Food Science and Technology, The Ohio State University

    本研究では、パン類へ配合するIMDが小麦パンの生地のレオロジー及び物理的テクスチャー特性に及ぼす影響を評価した。IMDは、”good” source of fiberレベル(米国FDA)となるよう小麦に配合した(10%IMD)。ストレート法により、IMD生地と通常生地を8分間混合したときの生地は弾力性が低くなり、できあがったパンは対照と比較して凝集性や弾力性、歯ごたえが低くなった。生地の混合時間を36分間に延長し、水分値を調整(70%)した改良版のストレート法、及び中種法を用いて、グルテン構造をより発達させた。IMDを配合したときの改良版のストレート法及び中種法は、元のストレート法と比較して、生地の弾力が強化された。この確立されたパン製造法(改良版のストレート法&中種法)により、IMD非配合パンと同等の外観と質感を備えた"good source" of fiberレベルをのパンをIMDは可能にする。

  • パーソナルケア

    Dynamic Temporal Sensory Transition during Skin Application of Oligosaccharides: Correlation Analysis between Sensation and Physical Properties

    オリゴ糖を皮膚に塗布した際の経時的な感触変化:感触と物性との相関解析

    日本レオロジー学会誌 Vol.49, No.4, 241-246

    • Mutsuko Taniguchi, Akira Harashima, Tatsuya Ishihara, Shimpei Ushio, Yoko Akiyama*
    • * Osaka University

    オリゴ糖5種あるいはポリオール1種の水溶液をそれぞれ皮膚に塗布した際の感触を、5つの擬音語(日本語)で定義し、その感触の強さと経時的変化を観察した。さらに、感触と各サンプルの物理的および化学的特性との関係を調べた。
    塗布中はサンプル間で感触の違いは観察されなかったが、塗布後の「ベタベタ」「ギシギシ」「サラサラ」の感触はサンプル間の特性に差が認められた。オリゴ糖の感触は、まず、「ヌルヌル」を感じた後、「ギシギシ」に変わり、最終的には「ベタベタ」、「シットリ」、「サラサラ」といった感触に経時変化していった。「ベタベタ」、「シットリ」、「サラサラ」を感じるタイミングは、サンプル間で差が見られた。
    化粧品としては望ましくないオリゴ糖の性質である「ベタベタ」感と、サンプルの物理的および化学的性質との相関について解析したところ、接着性、塗布終了前 20 秒間の塗布力の積分値、および溶解性の間に高い相関が認められた。「べたべた」するオリゴ糖は、前述のような物性を持っていると考えられた。

  • 食品

    Isomaltodextrin strengthens model starch gels and moderately promotes starch retrogradation

    イソマルトデキストリンはモデルデンプンゲルを強化し、デンプンの老化を適度に促進する

    International Journal of Food Science and Technology, 56(4): 1631-1640 (2021) doi:10.1111/ijfs.14782

    • Fang Fang*1, Anna M.R. Hayes*1, Hikaru Watanabe, Takanobu Higashiyama, Osvaldo H. Campanella*2 Bruce R. Hamaker*1
      • *1 Department of Food Science, Whistler Center for Carbohydrate Research, Purdue University
      • *2 Department of Food Science and Technology, The Ohio State University

    この研究では、デンプンゲルの粘弾性と微細構造およびデンプンの老化に対するイソマルトデキストリン(IMD)の影響を調査した。IMD溶液は、典型的なニュートン挙動を示した。相対湿度95%に維持すると、IMDは元の重量の40%の水を吸収した。通常のコーンスターチにIMDを添加するとゲルの強度が増し、細孔構造がより密になり、小さくなったが、弾性に変化はなかった。7日間保存すると、高濃度のIMD(デンプン:IMD = 2:1)を添加すると、デンプンの老化の程度が大幅に増加した。

  • 医療

    Inflammatory M1-like macrophages polarized by NK-4 undergo enhanced phenotypic switching to an anti-inflammatory M2-like phenotype upon co-culture with apoptotic cells

    NK-4により炎症性でM1様に分極したマクロファージは、アポトーシス細胞と共培養することにより抗炎症性でM2様の表現型へと移行する

    Journal of Inflammation, 18:2 (2021) https://doi.org/10.1186/s12950-020-00267-z

    • Keizo Kohno, Satomi Koya-Miyata, Akira Harashima, Takahiko Tsukuda, Masataka Katakami, Toshio Ariyasu, Shimpei Ushio and Kanso Iwaki

    錠剤ルミン®Aの有効成分であるNK-4は、マクロファージに作用し炎症性で貪食作用の亢進したM1様マクロファージへと分極させることを見出した。この結果はNK-4が、創傷治癒の炎症相において外部から侵入した病原体に対する最前線の防御作用を賦与することを示唆している。さらにNK-4によりM1様へと分極したマクロファージは、アポトーシス細胞と培養することにより抗炎症性で創傷治癒作用のあるM2様のマクロファージへと移行が促進されることが分かった。慢性炎症性疾患では、炎症相から抗炎症相への移行が滞っていることが報告されており、今回の結果は、NK-4が慢性炎症の治癒に有効な手段となる可能性を示唆している。

  • 食品

    Ingredients such as trehalose and hesperidin taken as supplements or foods restore changes in human T cells suggesting reduction of anti-tumor immunity caused by asbestos exposure

    トレハロースや糖転移ヘスペリジンなどの成分は、サプリメントや食品として摂取することで、ヒトのT細胞を変化させ、アスベスト曝露による抗腫瘍免疫力の低下から回復させることを示唆している。

    International Journal of Oncology (2021)

    • Yamamoto S*1, Lee S*1, Ariyasu T, Endo S, Miyata S, Yasuda A, Harashima A, Ohta T, Kumagai-Takei N*1, Ito T*1, Shimizu Y*2, Srinivas B*1, Sada N*1, 3, Nishimura Y*1 and Otsuki T*1.
      • *1 Kawasaki Medical School
      • *2 Dept. of Pathophysiology-Pridontal Science, Okayama University Graduate School of Medicine
      • *3 Dept of Biophysical Chemistry, Okayama University Graduate School of Medicine

    トレハロースまたは糖転移ヘスペリジンは、アスベスト連続暴露によって低下した T ヘルパー細胞の抗腫瘍免疫を回復させる可能性があることが示唆された。アスベスト暴露のリスクが高い人(アスベスト製造業やビル解体作業員など)に本化合物を投与するための試験を実施するためには、より詳細な検討が必要であると考えられる。

  • 食品

    Single Ingestion of Trehalose Enhances Prolonged Exercise Performance by Effective Use of Glucose and Lipid in Healthy Men

    健康な男性におけるトレハロースの単回摂取は、糖質と脂質を効率良く使用することで長時間の運動パフォーマンスを向上させる

    Nutrients 2021, 13(5), 1439; https://doi.org/10.3390/nu13051439

    • Naomi Hamada*1,*2, Tsuyoshi Wadazumi*2, Yoko Hirata*2,*3, Mayumi Kuriyama*4, Kanji Watanabe*5, Hitoshi Watanabe*6, Nobuko Hongu*7 and Norie Arai
      • *1 Department of Applied Food Science, Higashiosaka Junior College
      • *2 Faculty of Health and Well-Being, Kansai University
      • *3 Department of Food and Nutritional Science, Kobe Women’s Junior College
      • *4 Faculty of Nursing Sciences, Meiji University of Integrative medicine
      • *5 School of Health and Sports Sciences, Mukogawa Women’s University
      • *6 Research Center for Urban Health and Sports, Osaka City University
      • *7 Department of Food and Human Life Science, Osaka City University

    12人の健康な男性を対象に、長時間の運動パフォーマンスに対するトレハロースの効果を調べた。自転車エルゴメーターを使用し、40% VO2peakの定常負荷運動を60分間後に、30分間の定常負荷運動を3回はさみ、30秒間を3回行うWingate テストを4セット実施した。最初のWingate テスト後に、500 mLの水(コントロール)、8%グルコース、または8%トレハロースを摂取した。試験の間、12のポイントで採血し、生化学パラメーターを調べた。トレハロース摂取後のアドレナリン曲線下面積は、水よりも有意に低く、運動後半のグルコース摂取よりも低くなる傾向があった。長時間の運動中に8%トレハロースを単回摂取後のアドレナリンの分泌の低下は、運動後半の体内の炭水化物の温存を反映している。結論として、トレハロース摂取は、糖質と脂肪酸とをバランスよく利用して、長時間の持久運動をサポ―トする可能性が示唆された。

  • その他

    Purification and characterization of cycloisomaltotetraose-forming glucanotransferases from Agreia sp. D1110 and Microbacterium trichothecenolyticum D2006

    Agreia sp. D1110株とMicrobacterium trichothecenolyticum D2006株由来のシクロイソマルトテトラオース生成酵素の精製と性質調査

    Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry, 85(3), 600-610, (2021).

    • Akihiro Fujita, Akira Kawashima, Yuuki Mitsukawa, Noriaki Kitagawa, Hikaru Watanabe, Tetsuya Mori, Tomoyuki Nishimoto, Hajime Aga, Shimpei Ushio

    cyclo-{→6)-α-D-Glcp-(1→6)-α-D-Glcp-(1→6)-α-D-Glcp-(1→6)-α-D-Glcp-(1→} (CI4)をデキストランから生成するグルカノトランスフェラーゼをAgreia sp. D1110株およびMicrobacterium trichothecenolyticum D2006株の培養上清から精製した。両酵素の分子量は、SDS-PAGEによって86kDaと推定された。Agreia sp. D1110株由来のCI4生成酵素は、pH 6.0および40°Cで最も高い活性を示した。本酵素は、4.6?9.9のpH範囲および40°Cまで安定であった。一方、M. trichothecenolyticum D2006株由来の酵素はpH5.7および40°Cで最高の活性を示した。本酵素は5.0-6.9のpH範囲および35°Cまで安定であった。両酵素は4つの反応、すなわち分子内α-1,6転移(環化)、分子間α-1,6転移(不均化)、CI4の加水分解、カップリング反応を触媒した。さらに、6-α-グルコシルトランスフェラーゼによって澱粉から生成されたα-1,6グルカンに対してCI4生成酵素を作用させるとCI4を生成した。これらの発見により、澱粉からCI4を生成することが可能となる。

  • その他

    Development of Materials Informatics Platform

    マテリアルズ・インフォマティクスプラットフォームの開発

    Journal of Photopolymer Science and Technology, 34(1), 41-47, (2021).

    • Yasumitsu Orii*1, Shuichi Hirose*1, Akihiro Fujita, Masakazu Kobayashi*1
    • *1 NAGASE & Co., LTD.

    ビッグデータやAIを活用した新素材の開発がますます重要になってきている。マテリアルズ・インフォマティクス(MI)は、革新的な材料を発見するための時間とコストを削減できる可能性があり、材料開発分野で最も注目されている技術の一つである。そのためには、研究機関や企業で長年蓄積されてきたデータを収集し、そこから抽出した情報を知識化することが鍵となる。本論文では、膨大な文献情報を読み込んでデータをデジタル化する「コグニティブ・アプローチ」と、予測モデルから化学物質の構造や物性を理論的に推定する「アナリティク・アプローチ」という、AIを活用した2つの手法の開発について紹介する。

  • 食品

    Trehalose-Induced Remodelling of the Human Microbiota Affects Clostridioides difficile Infection Outcome in an In Vitro Colonic Model: A Pilot Study

    トレハロースにより誘導されたヒト腸内細菌の再構築はin vitro大腸モデルにおいてClostridioides difficile菌の感染結果に影響する:パイロット研究

    Frontiers in Cellular and Infection Microbiology,02 July 2021| https://doi.org/10.3389/fcimb.2021.670935

    • Anthony M. Buckley*1, Ines B. Moura*1, Norie Arai, William Spittal*1, Emma Clark*1, Yoshihiro Nishida, Hannah C. Harris*1, Karen Bentley*1, Georgina Davis*1, Dapeng Wang*2, Suparna Mitra*1, Takanobu Higashiyama and Mark H. Wilcox*1
      • *1 Healthcare Associated Infection Research Group, Molecular Gastroenterology, Leeds Institute of Medical Research, University of Leeds, Leeds, United Kingdom
      • *2 LeedsOmics, University of Leeds, Leeds, United Kingdom

    トレハロースは、トレハロース代謝変異を含む特定のClostridioides difficileC.difficile)リボタイプの病原性を高めると報告されたが、同様の変異株は広く存在しており、C.difficile感染症(CDI)患者の臨床データとの相関は認められていない。
    ここでは、in vitroモデルにおいて、トレハロースが腸内細菌に及ぼす影響を観察し、トレハロース添加による影響でC.difficile 増殖抑制やシミュレートされたCDIの発症を抑制することが示された。
    トレハロースもしくはグルコース添加、対照として生理食塩水を用いた3つの臨床を反映したヒト腸モデルにおいて、C.difficileの芽胞接種を行い、抗生物質処理することでCDIを誘導し、それら腸内菌叢を調べた。ヒトの腸内細菌はトレハロースを利用するため再構築された。
    トレハロース添加では限定された芽胞の発芽はみられたが、他の2つの系でみられたようなCDIは誘導されなかった。抗生物質処理後の腸内菌叢を分類学的及び機能的に解析した結果、トレハロースはC.difficileと栄養競合する腸内菌の回復促進を介して、CDI誘導を抑制することが示された。

  • 食品

    A novel dextrin produced by the enzymatic reaction of 6-α-glucosyltransferase. I. The effect of nonreducing ends of glucose with by α-1,6 bonds on the retrogradation inhibition of high molecular weight dextrin

    6-α-グルコシルトランスファーゼの酵素反応による新規デキストリンの調製Ⅰ.非還元末端にα-1,6結合で導入したグルコースの高分子デキストリンの老化に及ぼす影響

    Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry, 2021, Vol. 85, No. 7, 1737-1745

    • Akiko Yasuda, Manabu Miyata, Osamu Sano, Tatsufumi Sogo,Seiichiro Kishishita, Takuo Yamamoto, Hajime Aga, and Koryu Yamamoto

    ワキシー種のコーンスターチの液化澱粉(Mw:1,000 kDa)を原料とし、Paenibacillus alginolyticus PP710株の産生するα-グルコシルトランスフェラーゼが触媒するα-1,6グルコシル転移反応により、市販デキストリン(DE2-5、重量平均分子量(Mw)100 kDa程度)よりも高分子でかつα-1,6グルコシル基を導入したデキストリン(MWS-1000)を調製した。MWS-1000は、AGT作用前と重量平均分子量や側鎖長に変化がなく、ワキシーコーンスターチの分解物の非還元末端にα-1,6グルコシル基が導入された構造であると推定され、老化しない性質を示した。

  • 食品

    A novel dextrin produced by the enzymatic reaction of6-α-glucosyltransferase. Ⅱ. Practical advantages of thenovel dextrin as a food modifier

    6-α-グルコシルトランスファーゼの酵素反応による新規デキストリンの調製Ⅱ.新規デキストリンの食品用途での実用的な利点

    Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry, 2021, Vol. 85, No. 7, 1746-1752

    • Rika Sumida*, Seiichiro Kishishita, Akiko Yasuda, Manabu Miyata,Akiko Mizote, Takuo Yamamoto, Hitoshi Mitsuzumi, Hajime Aga,Koryu Yamamoto, and Kiyoshi Kawai*
    • * Graduate School of Integrated Sciences for Life, Hiroshima University

    特徴的な結果として、MWS-1000は糊化澱粉と恐らく相互作用しないため、糊化澱粉に対して潤滑剤のような働きを示すことが挙げられます。その結果、MWS-1000は糊化澱粉にカスタードクリームのような粘弾性を付与します。これは脂質代替素材としての潜在性を示唆するものであり、食品産業にも大きなインパクトを与えるものと期待されます。

  • 食品

    Postprandial Blood Glucose Elevation after Ingestion of Cooked Rice in Healthy Adults -A Randomized, Placebo-controlled, Double-blind, Crossover Study-

    イソマルトデキストリンの食後血糖上昇抑制作用―無作為化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験―

    JAPANESE PHAMACOLOGY & THERAPEUTICS 49(8), 1241-1252 (2021)

    • Yuki Ishida, Tsuyoshi Sadakiyo, Yu Ohira, Shin Endo, Hitoshi Mitsuzumi, Nobuhiko Shioya*1, Yoshitaka Iwama*2
      • *1 KSO Corporation,
      • *2 Nihonbashi Cardiology Clinic

    血糖値が正常域(空腹時血糖値<126 mg/dLもしくはOGTT2時間後血糖値<200 mg/dL)の健常成人が炭水化物食と一緒にIMD配合もしくは非配合(プラセボ)の飲料水を摂取すると、IMDではプラセボに対して食後血糖値のAUCが有意に低値となった。また、経時的な食後血糖値の推移もIMDで低値を示したことから、IMDは食品由来の糖の吸収を抑制し、食後血糖値の上昇を抑制することが示唆された。

  • 食品

    Purification and characterization of cycloisomaltotetraose-forming glucanotransferases from Agreia sp. D1110 and Micobacterium trichothecenolyticum D2006

    Agreia sp. D1110 および Microbacterium trichothecenolyticum D2006由来環状イソマルトテトラオース生成酵素の生成と諸性質調査

    Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry. 2021 Feb 24;85(3):600-610

    • Akihiro Fujita, Akira Kawashima, Yuuki Mitsukawa, Noriaki Kitagawa, Hikaru Watanabe, Tetsuya Mori, Tomoyuki Nishimoto, Hajime Aga, Shimpei Ushio

    デキストランからcyclo-{→6)-α-D-Glcp-(1→6)-α-D-Glcp-(1→6)-α-D-Glcp-(1→6)-α-D-Glcp-(1→} (CI4)を合成するグルカノトランスフェラーゼを、Agreia sp. D1110 と Microbacterium trichothecenolyticum D2006 の培養上清から均質になるように精製した。両酵素の分子量は、SDS-PAGEにより86kDaと推定された。Agreia sp.由来のCI4生成酵素と名付けられたグルカン転移酵素は、pH 6.0, 40 ℃で最も高い活性を示した。この酵素は、pH4.6-9.9の範囲と40℃まで安定であった。一方、M. trichothecenolyticum由来の酵素は、pH5.7、40 °Cで最も高い活性を示した。この酵素は、pH5.0-6.9の範囲で、35℃まで安定であった。両酵素は、分子内α-1,6-トランスグリコシル化(環化)、分子間α-1,6-トランスグリコシル化、CI4の加水分解、カップリング反応の4つの反応を触媒することが確認された。さらに、CI4生成酵素は、6-α-グルコシルトランスフェラーゼにより澱粉から合成されたα-1,6結合グルカンからCI4を生産していた。これらの知見により、澱粉からのCI4生産が可能となる。

  • 食品

    Cloning of the cycloisomaltotetraose forming-enzymes using whole genome sequence analyses of Agreia sp. D1110 and Microbacterium trichothecenolyticum D2006

    Agreia sp. D1110 および Microbacterium trichothecenolyticum D2006のゲノム全塩基配列による環状イソマルトテトラオース生成酵素遺伝子のクローニング

    Biosci Biotechnol Biochem. 2021 Dec 22;86(1):68-77

    • Fujita Akihiro, Kawashima Akira, Noguchi Yuji*, Hirose Shuichi*, Kitagawa Noriaki, Watanabe Hikaru, Mori Tetsuya, Nishimoto Tomoyuki, Aga Hajime, Ushio Shimpei, Yamamoto Koryu
    • * NAGASE CO., LTD.

    cyclo-{→6)-α-D-Glcp-(1→6)-α-D-Glcp-(1→6)-α-D-Glcp-(1→6)-α-D-Glcp-(1→} (CI4)をデキストランから生成する酵素を分泌するAgreia sp. D1110 とMicrobacterium trichothecenolyticum D2006の全ゲノム配列を解析した。CI4生成酵素の全長アミノ酸配列は、既知のN末端アミノ酸配列とドラフトゲノムとの一致により同定された。ドメイン検索の結果、CI4生成酵素はGlycoside Hydrolase family 66 (GH66) ドメイン、Carbohydrate Binding Module family 35 (CBM35) ドメイン、CBM13ドメインからなり、GH66に分類されることが判明した。さらに、2つのCI4生成酵素のアミノ酸配列は互いに71%類似しており、GH66に分類されるcycloisomaltooligosaccharide glucanotransferase(CITase)とは最大で51%の類似性を有していた。CI4生成酵素とCITaseの配列の違いは、特定のシクロイソマルトオリゴ糖を生成するメカニズムを示唆しており、全ゲノム配列解析により、CI4生成酵素と協調的に働くと考えられる遺伝子群が同定された。

  • 食品

    Efficient production of isomaltose and isomaltooligosaccharides from starch using 1,4-α-glucan 6-α-glucosyltransferase and isopullulanase

    1,4-α-glucan 6-α-glucosyltransferaseと isopullulanaseを用いた澱粉からのイソマルトースおよびイソマルトオリゴ糖の効率的な生産方法

    Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry. 2021 Nov 24;85(12):2450-2458

    • Noriaki Kitagawa, Hikaru Watanabe, Tetsuya Mori, Tomoyuki Nishimoto, Hajime Aga, Shimpei Ushio, Koryu Yamamoto

    我々は、α-(1→6)結合からなる二糖であるイソマルトースを、活性既知の酵素の組み合わせて、澱粉から効率的に製造する方法の開発を試みた。その結果、Bacillus globisporus N75 由来の 1,4-α-グルカン 6-α-グルコシルトランスフェラーゼ と Aspergillus brasiliensis ATCC 9642 由来の isopullulanase の組み合わせにより、イソマルトースを効率的に合成することができることを見いだした。イソアミラーゼとシクロマルトデキストリン・グルカノトランスフェラーゼを含めると効率が上がり、生産収率は70%を超えた。さらに、Paenibacillus sp. PP710 由来の 1,4-α-グルカン 6-α-グルコシルトランスフェラーゼ とイソプルラナーゼを組み合わせて、澱粉からイソマルトオリゴ糖を合成することを検討した。イソアミラーゼとα-アミラーゼを加えた反応では、基質濃度10%で、イソマルトースからイソマルトデカオースまでの一連のイソマルトオリゴ糖を含む生成物の総濃度は131 mM、全グルコピラノシル結合に対するα-1,6結合の比率は 91.7 %であった。これらの製造法の開発により、イソマルトースおよびイソマルトオリゴ糖の工業的生産が加速されるものと期待される。

  • 医療

    Cyclic Nigerosyl-Nigerose as Oxygen Nanocarrier to Protect Cellular Models from Hypoxia/Reoxygenation Injury: Implications from an In Vitro Model

    低酸素/再酸素化障害から細胞を保護する酸素ナノキャリアとしてのCNN:インビトロモデルからの検証

    International Journal of Molecular Sciences. 2021 Apr 19;22(8):4208.

    • Claudia Penna*1, Saveria Femminò*1*2, Fabrizio Caldera*3, Alberto Rubin Pedrazzo*3, Claudio Cecone*3, Edoardo Alfì*1, Stefano Comità*1, Takanobu Higashiyama, Francesco Trotta*3, Pasquale Pagliaro*1, Roberta Cavalli*4
      • *1 Department of Clinical and Biological Sciences, University of Turin, 10043 Turin, Italy.
      • *2 Department of Medical Sciences, University of Turin, 10126 Turin, Italy.
      • *3 Department of Chemistry, University of Turin, 10125 Turin, Italy.
      • *4 Department of Drug Science and Technology, University of Turin, 10125 Turin, Italy.

    心不全有病率は高齢者の間で増加しており、新しい治療法が開発されているにもかかわらず、死亡率は依然高いままである。心筋虚血、虚血再かん流傷害などが心不全をもとにしばしば発生する。それゆえに、虚血再かん流傷害を抑える心臓保護戦略が求められている。ナノキャリアが心臓病の代替医療として提唱されており、再酸素化をコントロールすることが現実的な方法である。CNNのような新規ナノキャリアは酸素のキャリアとして画期的な手法となる可能性があり、本研究では酸素キャリアとしての新規CNNベース処方を分析し、窒素CNNとの比較を行った。これら異なるCNNベース処方は二つの細胞モデル(H9c2、HMEC)に対し異なる濃度を用いて試験を行った。通常条件、低酸素状態、再酸素化にてその増殖曲線に対する影響を調べた。酸素-CNN、窒素-CNNともに通常酸素条件下では細胞増殖に変化は認められなかった。しかしながら、低酸素状態前に酸素-CNNを添加したものは窒素-CNNと比較して、低酸素/再酸素化の細胞死率が15-30%低下した。酸素-CNNは酸素供給を効果的にコントロールする結果を示し、心筋虚血に対する水溶性ナノキャリアを使った将来の治療法として興味深い可能性があることがわかった。

2020

  • その他

    Molecular Inverse-Design Platform for Material Industries

    マテリアル産業のための分子逆設計プラットフォーム

    KDD '20: Proceedings of the 26th ACM SIGKDD International Conference on Knowledge Discovery & Data MiningAugust 2020 Pages 2961-2969. https://doi.org/10.1145/3394486.3403346

    • Seiji Takeda*1, Toshiyuki Hama*1, Hsiang-Han Hsu*1, Victoria A. Piunova*2, Dmitry Zubarev*2, Daniel P. Sanders*2, Jed W. Pitera*2, Makoto Kogoh*3, Takumi Hongo*3, Yenwei Cheng*3, Wolf Bocanett*3, Hideaki Nakashika*3, Akihiro Fujita, Yuta Tsuchiya, Katsuhiko Hino, Kentaro Yano, Shuichi Hirose*4, Hiroki Toda*4, Yasumitsu Orii*4, Daiju Nakano*1
      • *1 IBM Research - Tokyo
      • *2 IBM Almaden Research Center
      • *3 IBM Garage, Tokyo Laboratory
      • *4 NAGASE Co., Ltd.

    新規材料の発見は、産業界の持続的な発展に不可欠である。しかしながら、新規材料は人間の専門家たちが全ての可能性を検討することは、現実的には困難なほどに多様である。本論文では我々は、人工知能を用いた分子逆設計プラットフォームをWebサービスとして構築した。本プラットフォームでは、化合物の構造と性質の関係性を人工知能に学習させることで、望みの性質を有する化学構造を人工知能に出力させることが可能となる。今回我々は、特に色素と糖質についてシステムを開発し、標的構造を得た。システムの開発過程と結果について本論文で報告する。

  • その他

    A cyclic tetrasaccharide, cycloisomaltotetraose, was enzymatically produced from dextran and its crystal structure was determined

    環状四糖シクロイソマルトテトラオースはデキストランから酵素的に生成された、またその結晶構造を明らかにした

    Carbohydrate ResearchVolume 496, October 2020, 108104

    • Akihiro Fujita, Akira Kawashima, Hiromi Ota*, Hikaru Watanabe, Tetsuya Mori,Tomoyuki Nishimoto, Hajime Aga, Shimpei Ushio
    • * Okayama University

    土壌から単離された2つの菌株, Agreia sp. D1110およびMicrobacterium trichocethenolyticum D2006は新規な環状四糖シクロイソマルトテトラオース(CI4)を酵素的に生成することを明らかにした。また、CI4の単結晶を取得しCI4の立体構造を明らかにした。CI4単結晶中のCI4は、二つのグルコシル残基がそれぞれ向かい合うユニークな3D構造を示すことが明らかとなり、既知環状四糖とは大きく異なっていた。これは、CI4分子とそのユニークな結晶構造に関する最初の報告である。

  • 食品

    Daily consumption of one teaspoon of trehalose can help maintain glucose homeostasis: a double-blind, randomized controlled trial conducted in healthy volunteers

    小さじ1杯のトレハロースを毎日摂取すると、グルコース恒常性の維持に役立つ:健康なボランティアで実施された二重盲検無作為化比較試験

    Nutrition Journal (2020) 19:68

    • Chiyo Yoshizane, Akiko Mizote, Chikako Arai, Norie Arai, Rieko Ogawa, Shin Endo, Hitoshi Mitsuzumi, Shimpei Ushio

    1日小さじ1杯(3.3g)のトレハロースを12週間摂取してもらい、摂取前後にグルコース負荷試験を実施して、食後血糖値の戻りやすさを調べた。その結果、既報のトレハロース10g摂取と同様に、トレハロース摂取により食後血糖値が戻りやすくなっていた。小さじ1杯のトレハロースは毎日の食事に取り入れやすい量であり、食後血糖値が高めの健康なヒトで血糖値を元に戻しやすくするのに役立つと考えられる。

  • その他

    Molecular analysis of cyclic α-maltosyl-(1→6)-maltose binding protein in the bacterial metabolic pathway

    微生物代謝経路における環状 α-マルトシル-(1→6)-マルトース結合タンパク質の分子学的解析

    PLoS ONE 15(11): e0241912 (2020)

    • Masaki Kohno*1, Takatoshi Arakawa*1,2, Naoki Sunagawa*3, Tetsuya Mori, Kiyohiko Igarashi*3,4, Tomoyuki Nishimoto, Shinya Fushinobu*1,2
      • *1 Department of Biotechnology, The University of Tokyo, Tokyo, Japan,
      • *2 Collaborative Research Institute for Innovative Microbiology, The University of Tokyo, Tokyo, Japan
      • *3 Department of Biomaterial Sciences, The University of Tokyo, Tokyo, Japan
      • *4 VTT Technical Research Centre of Finland Ltd., Espoo, Finland

    環状 α-マルトシル-(1→6)-マルトース (CMM) は交互にα-1,4および1,6結合を有する環状グルコ四糖である.この論文において,我々はArthrobacter globiformis細菌のABC輸送体システムにおけるCMM結合タンパク質 (CMMBP) の機能および構造解析について報告する.等温滴定型熱量解析により,CMMBPは9.6nMのKd値をともなってCMMに特異的に結合することが明らかとなった.1.47Åの分解能でCMMBPの結晶構造が決定され,二つのドメイン間のクレフトに一分子のパノースが結合していた.構造的特徴を明らかにするため,環状 α-ニゲロシル-(1→6)-ニゲロースおよびサイクロデキストリンのような糖質特異的なその他SBPとCMMBPの比較を行った.これらの結果は,A. globiformisがCMMに特化したユニークな代謝経路を有していることを示唆している。

  • 食品

    Effects of Glucosyl Hesperidin on Skin Blood Flow and Temperature: A Randomized, Double-blind, Placebo-controlled, Crossover Study

    皮膚血流および皮膚表面温度に対する糖転移ヘスペリジンの効果:プラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験

    診療と新薬 Medical Consultation & New Remedies 57(2), 129-134 (2020)

    • Naoki Morishita, Saori Ogihara, Shin Endo, Hitoshi Mitsuzumi, Shimpei Ushio

    健康な成人男女24名に糖転移ヘスペリジン 100 mgを単回摂取してもらい、寒冷ストレス後の血流と皮膚温度を調べた。その結果、既報の340 mgと同様に糖転移ヘスペリジン100 mgの摂取は寒冷ストレス後に血流と皮膚温度の回復を促進することが明らかとなった。

  • 食品

    Inhibitory Effect of Isomaltodextrin Intake on Increase in Postprandial Blood Triglycerides - A Randomized, Placebo-controlled, Double-blind, Crossover Study -

    イソマルトデキストリンの食後血中中性脂肪上昇抑制作用―無作為化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験―

    JAPANESE PHAMACOLOGY & THERAPEUTICS 48(8), 1437-1446 (2020)

    • Yuki Ishida, Tsuyoshi Sadakiyo, Shin Endo, Hitoshi Mitsuzumi, Shimpei Ushio, Nobuhiko Shioya*1, Yoshitaka Iwama*2
      • *1 KSO Corporation
      • *2 Nihonbashi Cardiology Clinic

    空腹時血中中性脂肪(TG)値が正常~やや高めの者が高脂肪食と一緒にIMDを摂取すると、食後TGおよびレムナント様リポ蛋白コレステロール(RLP-C)のAUCが低値を示した。また、空腹時TG値が正常な者のみでも同様の結果が得られた。

  • 食品

    Influence of Trehalose Mouth Rinse on Anaerobic and Aerobic Exercise Performance

    トレハロースマウスリンスが無酸素性運動および有酸素性運動のパフォーマンスに及ぼす影響

    Natural Product Communications 15(11): 1-6 (2020)

    • Yoshio Suzuki*1, 2, Kotaro Sato*2, Norie Arai, Shin Endo
      • *1 Juntendo University, Graduate School of Health and Sports Science
      • *2 Juntendo University, Faculty of Health and Sports Science

    運動前のトレハロース摂取は、30分以内の運動パフォーマンスを増強する。この効果がマウスリンス効果によるものかを調べるため、10人の健康な男子大学長距離ランナーは、6秒間のピークパワーと持久力テストで構成される運動評価を行った。各運動テスト前に6% w/v トレハロース、6% w/vマルトースあるいはアセスルファムカリウムのいずれかで5秒間口をすすいだ。トレハロースでは、ピークパワーテストの平均パワー値が最も高く、持久力テストではマルトースよりも平均パワーが高かった。
    トレハロースは味覚受容体T1R1-T1R3、T1R3-T1R3ホモダイマー、およびT1R2-T1R3を活性化するが、スクロースはT1R2-T1R3のみを活性化することなどから、トレハロースとマルトースの違いは口腔内の特定の受容体に起因する可能性がある。

  • 食品

    Lactotrehalose, an Analog of Trehalose, Increases Energy Metabolism Without Promoting Clostridioides difficile Infection in Mice

    トレハロースの類似体であるラクトトレハロースは、マウスのクロストリジウム・ディフィシル感染を促進することなくエネルギー代謝を増加させる

    Gastroenterology, 158:1402-1416 (2020)

    • Yiming Zhang*1, Nurmohammad Shaikh*1, Jeremie L. Ferey*2, Umesh D. Wankhade*3, Sree V. Chintapalli*3, Cassandra B. Higgins*1, Jan R. Crowley*4, Monique R. Heitmeier*1, Alicyn I. Stothard*5, Belgacem Mihi*1, Misty Good*1, Takanobu Higashiyama, Benjamin M. Swarts*5, Paul W. Hruz*1, Kartik Shankar*3, Phillip I. Tarr*1,6, Brian J. DeBosch*1,7
      • *1 Department of Pediatrics, Washington University School of Medicine
      • *2 Department of Obstetrics and Gynecology, Washington University School of Medicine
      • *3 Department of Pediatrics, University of Arkansas Medical School
      • *4 Department of Medicine, Washington University School of Medicine
      • *5 Department of Chemistry and Biochemistry, Central Michigan University
      • *6 Department of Molecular Microbiology, Washington University School of Medicine
      • *7 Department of Cell Biology and Physiology, Washington University School of Medicine

    ラクトトレハロースはトレハラーゼ耐性類似体であり、Cディフィシル菌株CD027の量や毒性を増加させることなく、トレハロースに比べて代謝パラメーターを増加させる。トレハラーゼ耐性トレハロース類似体は、糖尿病および非アルコール性脂肪肝疾患の治療のための次世代の空腹模倣薬として開発される可能性がある。

2019

  • 食品

    Attenuating Effect of Isomaltodextrin Contained in Bread on Postprandial Plasma Glucose Levels in Healthy Humans :A Randomized, Placebo-controlled, Double-blind Crossover Study

    健常被験者におけるイソマルトデキストリン配合パンの血糖上昇抑制作用:無作為プラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験

    診療と新薬 Medical Consultation & New Remedies 56(5), 358-364 (2019)

    • Takeo Sakurai, Yuki Ishida, Shin-ichiro Inoue, Mayumi Kurose, Yukinobu Uchida, Nariaki Yoshida, Tsuyoshi Sadakiyo, Hikaru Watanabe, Hitoshi Mitsuzumi, Shimpei Ushio, Junichi Hiramatsu*
    • * Health Research Institute, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology

    血糖値の上がりやすい被験者にパン(IMD非配合もしくは2.93g配合)を含む朝食を摂取させ、摂取直前から摂取後120分までの血糖値を経時的に測定したところ、経時的な血糖値の推移およびその曲線下面積において、IMD摂取時はIMD非摂取時に比べて有意な血糖上昇抑制が認められた。

  • 食品

    Effects of a Single Ingestion of Trehalose during Prolonged Exercise

    長期運動中のトレハロースの単回摂取の影響

    Sports 2019, 7, 100; doi:10.3390/sports7050100

    • Tsuyoshi Wadazumi*1, Kanji Watanabe*2, Hitoshi Watanabe*3, Hisayo Yokoyama*3, Nobuko Hongu*4, Norie Arai
      • *1 Kansai University,
      • *2 Mukogawa Womes’s University
      • *3 Osaka City University
      • *4 University of Arizona

    長時間運動試験において、トレハロース単回摂取による運動パフォーマンス及びエネルギー利用への影響について調べた結果、グルコースと脂質の効果的な活用を介して長時間運動の後半の運動パフォーマンスを改善するのに効果的であることがわかった。

  • その他

    An Information Extraction and Knowledge Graph Platform for Accelerating Biochemical Discoveries

    生化学分野での発見を加速するための情報抽出とナレッジグラフプラットフォーム

    In Proceedings of KDD 2019: Workshop on Applied Data Science for Healthcare (KDD 2019 Workshop). ACM, New York, NY, USA, 4 pages.

    • Matteo Manica*1, Christoph Auer*1, Valery Weber*1, Federico Zipoli*1, Michele Dolfi*1, Peter Staar*1, Teodoro Laino*1, Costas Bekas*1, Akihiro Fujita, Hiroki Toda*2, Shuichi Hirose*2, Yasumitsu Orii*2
      • *1 IBM Zurich
      • *2 NAGASE CO., LTD.

    ヒトによる探索では研究者の先入観があること、処理できる情報量に限りがあることから、気が付かない発見がある。本論文では生化学分野の論文・公共データベースから情報を抽出し、生化学分野に関するナレッジグラフを作製した。本ナレッジグラフを用いることで、ヒトが気が付かなかった発見につながることが期待される。また、探索の時間を大幅に縮小できると考えられる。

  • 食品

    Effect of Isomaltodextrin Intake on the Skin Condition and QOL of Healthy Subjects: A Randomized, Double-blind, Parallel-group, Placebo-controlled Study with Intake for 8 Consecutive Weeks

    健常成人の皮膚性状とQOLに対するイソマルトデキストリン摂取の影響:8週間継続摂取による無作為化二重盲検並行群間プラセボ対照試験

    診療と新薬 Medical Consultation & New Remedies 56(12), 907-916 (2019)

    • Yuki Ishida, Tsuyoshi Sasakiyo, Hikaru Watanabe, Hitoshi Mitsuzumi, Shimpei Ushio, Shuji Nakada*
    • * Medical Corporation Bokushinkai CLINITEXE Clinic

    便秘気味で肌乾燥の自覚がある健常成人男女にIMDを8週間継続摂取させたところ、皮膚科医による肌性状の評価において改善が認められた。さらに、腸内環境の指標とされる血中フェノール濃度が比較的高かった者では、IMD摂取により血中フェノール濃度が低減し、皮膚(足)水分量の高値が確認された。

  • その他

    Aqueous two-phase extraction of semiconducting single-wall carbon nanotubes with isomaltodextrin and thin-film transistor applications

    イソマルトデキストリンと薄膜トランジスタの用途による半導体単層カーボンナノチューブの水系2相抽出

    Applied Physics Express 12(9), 097003.1-097003.5 (2019)

    • Haruka Omachi*1-2, Tomohiko Komuro*1, Kaisei Matsumoto*1, Minako Nakajima*2, Hikaru Watanabe, Jun Hirotani*3, Yutaka Ohno*3-4, Hisanori Shinohara*1
      • *1 Department of Chemistry, Graduate School of Science, Nagoya University
      • *2 Research Center for Materials Science, Nagoya University
      • *3 Department of Electronics, Graduate School of Engineering, Nagoya University
      • *4 Institute of Materials and Systems for Sustainability, Nagoya University

    費用対効果が期待されるイソマルトデキストリン(α-1,6-グルコシド結合を多く含む多糖類)を用いた水系2相抽出法により、半導体型カーボンナノチューブを精製することに成功した。製造された薄膜トランジスタが優れた特性を示すことも明らかとなった。