日経電子版広告特集
世界初のトレハロース量産から30年
和菓子と二人三脚

全国和菓子協会
専務理事
藪 光生氏
ナガセヴィータ株式会社
代表取締役社長
万代 隆彦氏
バイオメーカーのナガセヴィータ(岡山市、旧社名:林原)が機能性糖質トレハロースを発売した1995年から30年。自然界に存在するものの希少性が高かったトレハロースを、独自の酵素技術で量産化することに世界で初めて成功し、トップメーカーとして市場をけん引してきた。トレハロースの持つ様々な機能を開発し、市場を広げてきた背景には、和菓子業界との二人三脚があったという。ナガセヴィータの万代隆彦社長と、全国和菓子協会の藪光生専務理事が30年の歴史を振り返った。
砂糖より優れた保水性
多様な機能を開発
万代 トレハロース(製品名:トレハ®)の発売から今年で30周年になります。トレハロースはきのこ類など自然界にも存在し、非常に優れた特性があるというのは以前から知られていましたが、自然界から大量に抽出するのは難しく、1キログラムあたり数万円と高価でした。当社は世界で初めて、独自の酵素技術を用いてデンプンからトレハロースを量産することに成功し、価格を約100分の1に下げました。トレハロースは現在、食品や化粧品、医薬品など様々な用途に使われていますが、市場拡大のきっかけはまずは和菓子で使われるようになったことでした。和菓子業界に育ててもらったようなもので、改めてお礼申し上げます。
藪 実を言うと、私ははじめトレハロースに良い印象を持っていませんでした。発売当初は低甘味料という宣伝文句で売られていましたよね。甘いものは肥満の原因だと目の敵にされ、甘さ控えめの菓子がもてはやされていた時代でした。しかし、私は甘さこそがおいしさであって、甘さを抑えるということはおいしさを否定することだと考えていたので、トレハロースは和菓子をダメにするのではないかと危惧したのです。

藪 光生氏
全国和菓子協会
専務理事
万代 噂を聞いた当社の役員が説明のため、全国和菓子協会の事務所へ通ったと聞いています。厚さ5~6センチメートルもある資料をお持ちしたとか。
藪 科学的なことは苦手ですが、分厚い資料を紐解いてみました。まずは自分で試してみることだと思って、いろいろとテストしていくうちにトレハロースのよさが分かってきて、「トレハ党」に転じました。
万代 トレハロースの特長は甘さが砂糖の38%という低甘味性をはじめ、熱や酸に強く安定性が高いこと、デンプンの老化抑制効果や保水性など様々あります。
藪 なかでも、最大の利点は保水性が高いことですね。砂糖は保水性の高い素材ですが、トレハロースには砂糖より優れた保水力があります。分かりやすい活用例は、もなかの餡(あん)です。もなかの皮はとても水分に弱いので、中に入れる餡の離水を防ぐために水あめや砂糖を多く入れる必要があります。すると甘さがしつこくなってしまう。ところが、トレハロースを入れると水あめや砂糖を減らしても餡からの水分移動が起きにくいので、甘さがしつこくならず、かつ皮が湿気にくいもなかを作れます。
万代 トレハロースをどれくらい使えばいいのかを探るのには苦労したと聞いています。少なすぎると効果が出ませんし、多すぎるとトレハロースが結晶化したり独特の粘りが出たりする不具合が生じます。アプリケーション開発ラボ「L’プラザ」で、和菓子メーカーと当社の研究員が試行錯誤を繰り返し、最適な配合、「ゴールデンポイント」を見つけてきました。和菓子業界への普及にあたっては、藪さんにご協力いただいて2011年に発行した「トレハ®ブック トレハ®を知り、和菓子を創る」が転機になりました。和菓子業界を代表する約20人の先生方による、トレハロースを使った様々な和菓子のレシピを紹介したほか、トレハロースの機能を11に分類して科学的な検証を加え、客観的なデータを用いて解説しています。
藪 データを使って科学的に和菓子を分析したのは新鮮でした。和菓子業界は長い歴史の中で経験値を積み重ねてきたわけですが、トレハロースという新しい素材を使うことによって、今までやってきたことが科学的に裏付けされた感じです。「トレハ®ブック」の作成にあたっては、各地域で指導的な立場の方々に参加してもらったことが大きかったですね。影響力のある人たちが推奨コメントを書いているので、若い職人たちも抵抗なくトレハロースを使うようになりました。

老舗も使用、自然由来の名脇役
藪 トレハロースのいいところは、砂糖との親和性が高いということです。砂糖のうま味を消すことなく、足りない機能を補うことができます。例えば、卵の白身を泡立ててメレンゲを作るときにトレハロースを入れると、気泡の細かさや均一性、安定性が際立ってよくなる。浮島やカステラなど、卵を使う和菓子がふわっとした食感に仕上がります。トレハロースによって和菓子が進化したと言ってもいいと思います。
万代 トレハロースは名脇役だと評価いただくことがあります。砂糖や水あめをすべてトレハロースに置き換えるのではなく、あくまでも脇役として、主役のよさを生かしながら機能を付加することができます。
藪 餅菓子類にトレハロースを加えることによって、日持ちが向上し、これまで流通できなかったところでも販売できるようになった例もありますね。デンプンの老化抑制効果によって餅菓子が固くなりにくく、おいしく食べられる賞味期限を延ばすことができるからです。流通には冷凍耐性も関わりますね。冷凍・解凍してもおいしさが保たれます。
万代 日持ちを向上させることは廃棄物の削減につながり、持続可能な開発目標(SDGs)にも貢献できます。甘さを控えつつ、水分活性を低下させて微生物の繁殖を抑えるため、安全性にも寄与しています。
藪 和菓子業界には数百年続く老舗も多く、伝統の味を守るためレシピを変えることを嫌います。しかし、トレハロースを使うことで食べやすいおいしさを提供できることが分かると前向きに変化しました。今や、和菓子業界でトレハロースを知らない人はほとんどいないのではないでしょうか。私の感覚では9割超の和菓子メーカーが使っていますが、洋菓子や料理の世界ではまだそこまで普及していませんね。
万代 洋菓子での使用も増えていますが、和菓子業界ほどではないですね。料理の世界はもっと少ないと思います。
藪 私は訪れた料理店でトレハロースのよさを話したり、サンプルを送ったりしているんです。プロの料理人だけでなく、家庭料理でも使われたらいいと思います。
万代 トレハロースにここまでほれ込んでいただいてありがとうございます。トレハロースが料理の世界にもっと深く活用されることで、食の新たな可能性が広がり、料理そのものも進化していくかもしれません。

万代 隆彦氏
ナガセヴィータ株式会社
代表取締役社長
顧客と共に課題克服
万代 私は入社してすぐ研究開発部門に配属され、トレハロースを作る酵素が見つかったときの研究にも携わっていました。1995年に工場生産を始めるときには工場に異動し、第一号製品が出荷される現場にも立ち会いましたので、トレハロースが30周年を迎えたことは感慨深い思いです。藪さんはトレハロースや当社に期待されること、ご要望はありますか。
藪 残念なのは、食品添加物であることを理由にトレハロースを敬遠する向きがあることです。トレハロースはパンやビールの酵母などにも含まれていますし、ナガセヴィータではデンプンを原料にトレハ®を作られていますよね。
万代 当社のトレハロースは欧州などでは新規食品として認可されており、各種基準を満たして製造しているので、安心してお使いいただけます。
藪 また、糖度を変えずに、もっと低カロリーの糖ができたらいいですね。砂糖は1グラムあたり4キロカロリー、トレハロースもほぼ同じです。
万代 健康和菓子の領域にも貢献せよというメッセージとして捉えたらよろしいですか。
藪 健康上の理由で甘いものを食べられない人もいらっしゃいます。そういった人向けの和菓子を作れたらと思うのですが、ないものねだりでしょうか。
万代 一見難しそうなご要望こそが、当社のアプリケーション開発の原動力だと思っています。和菓子業界に支持をいただくまでの道のりは、容易ではありませんでした。当社のアプリケーション開発チームが実験データを取って科学的に証明しながら、和菓子業界と一緒に新しい使い方を見つけていくという取り組みが確かな成果を生み出してきました。これからも試行錯誤は続きますが、メーカーとしてお客様と共に未来の課題を克服しながら、共に成長していくことを目指し、前進し続けます。

壺中庵(八芳園)にて