雑誌EBioMedicineに論文 “Clostridium difficile trehalose metabolism variants are common and not associated with adverse patient outcomes when variably present in the same lineage” (https://doi.org/10.1016/j.ebiom.2019.04.038)が掲載されました。この研究論文に関する弊社の見解、及び弊社が製造販売しておりますトレハⓇ(トレハロース)の安全性に関して、ご報告申し上げます。
この研究論文は、2018年の雑誌Natureに掲載されました“Dietary trehalose enhances virulence of epidemic Clostridium difficile”の内容について、その信憑性を複数の研究機関が共同で検証したものです。このEBioMedicine誌の論文では、Nature誌に掲載された論文の内容は誤った見解であり、詳細な裏付けデータと共に、トレハロースとC.difficile強毒菌流行の関連性を示す根拠は見当たらないことを報告しています。弊社では、今回の研究論文によりトレハロースの安全性がより一層担保されたものと考えております。報告内容の概要を一覧として以下にお示しします。
検証事項 | 2018年Nature誌 | 2019年EBioMedicine誌 |
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トレハロース代謝の遺伝子変異は、 C.difficile 強毒菌に特徴的なものか? | トレハロースによって C.difficile 強毒菌の遺伝子変異が誘導された可能性を報告 | 最新のゲノム解析により、数千年前から強毒菌以外の C.difficile にも広く存在するごく一般的な遺伝子変異 |
C.difficile 強毒菌がもつ4つのトレハロース代謝遺伝子と強毒菌の流行または患者の死亡率との関連性は? | C.difficile 強毒菌は4つのトレハロース代謝遺伝子を保持しており、強毒菌の流行と関連する可能性を報告 | 4つのトレハロース代謝遺伝子は強毒菌以外の C.difficile にも広く存在し、かつ、最新の疫学的調査により患者の死亡率と関連性はない |
各国におけるトレハロースの輸入と C.difficile 強毒菌の流行との関連性は? | 各国におけるトレハロースの輸入が C.difficile 強毒菌の流行と関連する可能性を報告 | 米国、英国、ドイツ、EUにおいて C.difficile 強毒菌の流行が既に認められた2000年~2006年のトレハロース輸入量は1 g未満/人/年と極めて少なく、関連性はない ※1 |
トレハロースの摂取は、ヒトの腸内にある C.difficile 強毒菌へどのような影響を及ぼすか? | (該当なし) | 臨床で実績のある腸モデル系試験において、トレハロース添加により C.difficile 強毒菌の特異的増殖はみられず、毒素の産生量も抑えられる |
※1マッシュルームや蜂蜜など天然資源からの食事性トレハロース量(輸入トレハロースを含まない):約100 g /人/年(米国の消費量に基づく数値)
弊社では、今後も安全で高品質の製品の供給に努めてまいりますので、引き続きトレハⓇ(トレハロース)をご愛顧賜りますよう、お願い申し上げます。
●関連リリース 「雑誌Natureに掲載されたトレハロースに関する論文について」