The metabolic effects of trehalose and its analoguesBrian DeBoschWashington University School of Medicine
開催概要
- 日時
- 2022年9月8日(木)13:00~17:10(会場受付12:30より、オンライン開場12:50より)
- 会場
ハイブリッド開催 1)会場:東京・御茶ノ水 ソラシティカンファレンスセンター ソラシティホールWEST(2階) 〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台4-6 御茶ノ水ソラシティ 電話:03-6206-4855 ◆交通 JR中央線・総武線「御茶ノ水」駅 聖橋口から徒歩1分 東京メトロ千代田線「新御茶ノ水」駅 B2出口【直結】 東京メトロ丸の内線「御茶ノ水」駅 出口1から徒歩4分 都営地下鉄新宿線「小川町」駅 B3出口から徒歩6分 ※お客様用の駐車場はご用意がございません。ご来場の際は、公共交通機関をご利用ください。 ※お申し込みは先着順です。 事前のお申し込みがない場合は、当日受付にて参加をお断りさせていただく場合がございます。
2)オンライン:ZOOMウェビナー ※ご参加者様はマイク機能をご使用いただけません。 演者へのご質問などは「Q&A」機能をご利用いただきます。あらかじめご了承ください。
- 主催/
共催/後援 - 主催:株式会社 林原 後援:日本応用糖質科学会
- 参加対象/
定員 - ご来場による参加:200名、オンラインによる参加:1,000名
- 参加費
- 無料(事前登録制)
- 座長
- 黄川田 隆洋(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 生物機能利用研究部門 上級研究員)
- 開催データ
- 参加者:会場・オンライン 合計231人
プログラム
プログラム概要
スケジュール | 内容 |
---|---|
13:00 - 13:10 | 主催者挨拶 安場 直樹 (株式会社林原 代表取締役社長) |
13:10 - 14:40 | 座長:黄川田 隆洋(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 生物機能利用研究部門 主席研究員) Ⅰ The metabolic effects of trehalose and its analogues(録画・同時通訳あり) Brian DeBosch (Washington University School of Medicine, Associate Professor) Ⅱ Trehalose allows long-term thermal stabilization of vaccines and other biological materials in sugar glasses(録画・同時通訳あり) Carlos D. M. Filipe (McMaster University, Department of Chemical Engineering, Professor) Ⅲ 低濃度トレハロース水溶液ガラスの結晶化と結晶化後の結晶成長過程 鈴木 芳治1、竹谷 敏2 (1国立研究開発法人 物質・材料研究機構 先端材料解析研究拠点 主幹研究員、2国立研究開発法人 産業技術総合研究所 計量標準総合センター 上級主任研究員) |
14:40 - 14:50 | 休憩 |
14:50 - 16:20 | Ⅳ 心臓外科領域の基礎研究におけるトレハロースの可能性 新宮 康栄 (北海道大学大学院医学研究院 講師) Ⅴ 昆虫の生活史におけるトレハロース代謝の役割 西村 隆史 (群馬大学 生体調節研究所 教授) Ⅵ トレハロース代謝系とサイトカイニン分解系のクロストークがブドウの果粒数を決定する 鈴木 俊二 (山梨大学大学院 総合研究部 附属ワイン科学研究センター 教授) |
16:20 - 16:30 | 休憩 |
16:30 - 17:00 | 総合討論会 |
17:00 | 閉会挨拶 西尾 俊幸 (日本大学 生物資源科学部 生命化学科 教授/日本応用糖質科学会 会長) |
※プログラムの内容は都合により変更することがあります。スライドの写真撮影、スクリーンショット等はご遠慮ください。
抄録
Ⅰ Ⅱ Trehalose allows long-term thermal stabilization of vaccines and other biological materials in sugar glassesCarlos D. M. FilipeMcMaster University Department of Chemical Engineering
Ⅲ 低濃度トレハロース水溶液ガラスの結晶化と結晶化後の結晶成長過程鈴木 芳治1、竹谷 敏21物質・材料研究機構、 2産業技術総合研究所
Ⅳ 心臓外科領域の基礎研究におけるトレハロースの可能性新宮 康栄北海道大学大学院医学研究院 心臓血管外科学教室
Ⅴ 昆虫の生活史におけるトレハロース代謝の役割西村 隆史群馬大学 生体調節研究所
Ⅵ トレハロース代謝系とサイトカイニン分解系のクロストークがブドウの果粒数を決定する鈴木 俊二山梨大学大学院 総合研究部 附属ワイン科学研究センター
演者紹介
略歴
Brian DeBosch is an Associate Professor of Cell Biology & Physiology and Pediatrics at Washington University, Director of the Washington University Nutrition & Obesity Center Enrichment Program, and Director of the Washington University School Digestive Diseases Research Core Center (DDRCC) Section on Metabolic Homeostasis, Nutrient Transport, and Enterohepatic Signaling.
研究内容
During post-doctoral and early junior faculty epochs, he identified a novel, tractable therapeutic target (hepatic Glucose Transporter 8 (GLUT8)), against non-alcoholic fatty liver disease (NAFLD) and type 2 diabetes mellitus (T2DM) pathogenesis. He then defined the mechanism of action of the disaccharide trehalose as a novel glucose transporter inhibitor that recapitulates the effects of GLUT8 deletion in protecting against NAFLD and T2DM by inducing hepatocyte fasting-like responses. He and his team now seek to (i) translate our provocative initial basic discovery to advance human health and longevity; and (ii) define new pathways downstream of glucose transporter signaling so that we can also target these pathways to improve human health.
略歴
Carlos Filipe joined McMaster University as an Assistant Professor in 2002. Currently is Professor and Chair of the Department of Chemical Engineering.
研究内容
His research focuses on creating solutions that produce lasting, beneficial effects on society. One example is the work on thermal stabilization of vaccines, which is the focus of his presentation for this event. Another example is the development of "Sentinel Wraps". These wraps are printable DNAzyme-based systems that make typical Saran™ films capable of detecting and reporting the presence of pathogenic bacteria in packaged food, enhancing food safety and security. Carlos has been recognized by McMaster University with an Innovator of Distinction award for his strong track record of transferring technology to the industry. Carlos is also an award-winning instructor. He is a recipient of the President\'s Award for Outstanding Contributions to Teaching and Learning (2011) from McMaster University, which is the highest recognition given at McMaster for teaching and learning.
略歴
1991年 青山学院大学大学院理工学研究科物理学科専攻博士後期課程 1991年 青山学院大学理工学部物理学科 助手 1997年 科学技術振興事業団 科学技術特別研究員 (無機材質研究所:現物質・材料研究機構) 2004年 株式会社エフアール 2008年 国立研究開発法人 物質・材料研究機構 主幹研究員 現在に至る
研究内容
水および水溶液のポリアモルフィズムの研究
略歴
2001年 北海道大学医学部卒業2009年 北海道大学医学部 循環器外科 博士課程 修了 2009年 ドイツ ライプチッヒ大学心臓センター 心臓外科 研究員・臨床フェロー 2011年 北海道大学病院 循環器・呼吸器外科 助教 2016年 北海道大学大学院医学研究院 循環器・呼吸器外科 (現・心臓血管外科)講師 現在に至る
研究内容
トレハロースを用いた心臓外科領域の基礎的研究(心不全治療,臓器保存,虚血再灌流)
略歴
1999年 北海道大学 水産学部生物生産科学科 卒業 2001年 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科 修士課程 修了 2004年 名古屋大学 大学院医学系研究科 博士課程 修了 2004年 名古屋大学 大学院医学系研究科 JSPS特別研究員 2006年 オーストリア国立分子細胞工学研究所 HFSP研究員 2009年 理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター チームリーダー 2021年 群馬大学 生体調節研究所 教授 現在に至る
研究内容
昆虫モデル生物を用いたトレハロース代謝の分子遺伝学的研究
略歴
1991年 三重大学農学部農学科 卒業 1993年 三重大学大学院生物資源学研究科 修士課程 修了 1999年 三重大学大学院生物資源学研究科 博士課程 修了 1999年 カリフォルニア大学デイビス校 医学部薬理学/毒物学研究室 ポストドクトラルリサーチャー 2002年 秋田県立大学生物資源科学部生物生産科学科 流動研究員 2003年 愛媛大学医学部生理学第一講座 助手 2006年 山梨大学大学院医学工学総合研究部 助教授(後に、准教授) 2016年 山梨大学大学院総合研究部 教授 2022年 山梨大学大学院 総合研究部 附属ワイン科学研究センター センター長 現在に至る
研究内容
ブドウ果実品質決定の分子機構に関する研究 ブドウの分子育種に関する研究 ブドウの環境ストレス応答に関する研究 ブドウ病害に有効な微生物農薬の開発
座長紹介
略歴
1992年 岩手大学農学部農芸化学科卒業 1994年 岩手大学大学院農学研究科農芸化学専攻修了(修士課程) 1994年 農林水産省 蚕糸・昆虫農業技術研究所入所 2001年 独立行政法人 農業生物資源研究所へ改組 主任研究員 2009年 論文提出により東京工業大学から博士(工学)授与(主査:櫻井実教授) 2015年 東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻 客員准教授を兼任 2016年 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 上級研究員 2019年 同研究機構 主席研究員へ昇任 現在に至る
研究内容
ネムリユスリカの極限的な乾燥耐性の分子機構の解明動物細胞の常温乾燥保存技術の開発
開催報告
参加人数 会場・オンライン:合計231
第24回トレハロースシンポジウムは無事閉幕いたしました。初めてのハイブリッド開催でしたが、多くの方々にご参加をいただきました。
会場参加:59名 オンライン参加:172名
各演題発表後の総合討論会では、広く生物は何故トレハロースを利用しているのか、他の糖質とどのように差別化しているのかについて、あらゆる角度から討議が行われました。最後に、各演者から今後の展望が示され、さらなる研究活動に期待がかかるものとなりました。
閉会の挨拶
まずはご講演いただきました6名の先生方、そして座長を務めてくださいました黄川田先生、ありがとうございます。また、この会場およびオンラインで講演をお聞きの皆様、トレハロースシンポジウムにご参加いただきまして、どうもありがとうございました。6名の講演者の先生方におかれましては、トレハロースの多岐にわたる利用について実に詳細にご説明いただきました。私自身、糖質の研究をしておりますが、ひとつのオリゴ糖がこのように多彩な機能を持っていることに大変驚いております。
トレハロースは当初、食品分野で糖質素材として検討されていたと記憶しておりますが、今では、生理的作用を誘導する素材としても研究されています。今後も有用なものがあれば、分野にこだわりなく研究開発されていくことになるでしょう。
しかしながら、私はトレハロースによる多様な生物学的な現象の研究が「こういうことに使える」とか「こういうことに有用だ」というだけで終わって欲しくないと思っています。つまり、研究者の皆様には、分子的にどういうメカニズムでそうなるのかを探る、いわゆる基礎研究もしていただきたく思っているのです。なぜならば、基礎研究で物質・現象の本質がわかってくれば、応用研究でさまざまな分野で開発ができ、用途がさらに広がってゆく可能性がとても高くなるからです。私はここに、現象だけではなくメカニズムを解明する基礎研究もしっかり行っていただくことは、とても重要である、と提言させていただきたい。
話は変わりますが、先週、私が会長を務めている日本応用糖質科学会の創立70周年記念大会が東京で開催され、記念シンポジウムで何人かの著名な先生に講演をしていただきました。その中で、貝沼圭二先生という重鎮の先生にもお話しいただいたのですが、発表スライドの中の1枚に、貝沼先生をはじめフラクトオリゴ糖研究の故・日高秀昌先生など、著名な先生たちが写っていらっしゃいまして、その上部に「第1回トレハロースシンポジウム」という吊り看板が掲げられているのを見ました。今となっては伝説的な重鎮の先生方が、このトレハロースシンポジウムに参加されて、活躍されていたことを写真で知ることができ、胸がいっぱいになりました。1997年に開催された第1回から第24回に至るまで、トレハロースシンポジウムでは多くの研究発表がなされました。その中には実用化に結びついたものも、そうでないものもたくさんあるかと思いますが、私は第1回より積み重ねてきた歴史も考えて、このシンポジウムをこれからも大切にしてゆくことがとても重要だと思います。今後、トレハロースがどのような方向で発展してゆくのか?ということについてはわからない部分もありますが、24回のシンポジウムで得られた英知の上に立ち、更にその進歩、つまり、トレハロースの開発を進めていただきたい。最後の討論会でもいろいろとヒントが出ていたと感じました。是非とも1つ1つ検証して、今後発展させて欲しいと切に願っております。
最後になりましたが、皆様のご健勝と今後のご活躍をお祈りしまして、私の挨拶とさせていただきます。
<略歴>
1981年 埼玉大学理部生体制御学科 卒業
1983年 東京農工大学大学院農学研究科農芸化学専攻 修士課程 修了
1983年 サッポロビール(株) 入社 応用開発研究所 配属
1989年 東京大学薬学部へ出向(2年間)
1990年 東北大学にて博士号取得(論文博士)
1993年 サッポロビール(株) 退社後、 日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部) 農芸化学科(現・生命化学科) 就任
1997年 カナダ国立科学研究所(モントリオール)に客員研究員として留学(1年間)
2011年 専任講師、准教授を経て教授に就任 現在に至る
2021年 (一社)日本応用糖質科学会 会長に就任 現在に至る
<研究内容>
糖質の化学と生物科学