


NAGASEグループのナガセヴィータ株式会社(本社:岡山市北区下石井 代表取締役社長:万代 隆彦)は、当社が開発、製造、販売を行っているイソマルトデキストリン(製品名:ファイバリクサ®)が日本バイオプラスチック協会(以下JBPA)の生分解性プラ識別表示制度および海洋生分解性プラ識別表示制度におけるポジティブリスト記載基準(B-6その他1:有機材料)に適合した製品として登録されたことをお知らせいたします。同協会のポジティブリストへの登録は、ナガセヴィータの製品としてトレハロース、プルランに続き3つ目になります。
通常の「生分解性プラスチック」は、高温・多湿・微生物が豊富な土壌など特定の条件でしか分解されないことが多く、海洋のような微生物濃度が低く、低温・低栄養環境では分解されにくいとされています。このたび海洋生分解性プラポジティブリストにも収載されたことで、各生分解性プラ製品に幅広く使用可能なことが示されました。
生分解性プラポジティブリスト B-6 その他1 有機材料
海洋生分解性プラポジティブリスト B-6 その他1 有機材料
EUや日本を含む多くの国で、海洋プラスチック対策が強化されており、海洋生分解性のある素材の使用が推奨・義務化される動きがあります。日本バイオプラスチック協会(JBPA)の「生分解性プラ識別表示制度」、「海洋生分解性プラ識別表示制度」では、国際的に定められた試験方法を採用しており、日本だけでなく、海外市場への展開にも期待でき、今後販売活動を広げてまいります。
*「生分解性」:物質が土や川、海などの自然に排出されて、それらが微生物などに分解されて無機物へ分解されること。
【背景と今後】
私たちの生活に欠かせないプラスチック製品ですが、製品自体が地球上の微生物など自然の力では分解されず、特に海洋プラスチックごみによる海洋汚染は世界規模の環境課題となっています。世界中で毎年数百万トンのプラスチックごみが海に流れ込み、海洋生物や生態系に影響を与えており、マイクロプラスチックとして人体へ取り込まれる可能性も課題として指摘されています。さらに、プラスチック製品は製造の際に化石燃料を用いており、焼却処理の際には、大量の二酸化炭素が発生し、地球温暖化を進めてしまいます。
そのため、世界的な脱炭素への取り組みが加速しており、EU圏では「炭素税」を企業に課すなど、サステナビリティの観点でのモノづくりの在り様が急速に変わりつつあります。日本国内でも「炭素税」の本格的な導入が検討されるなど、化学工業分野では土や川、海などの環境中で速やかに分解される「生分解性素材」を用いたモノづくりへの転換が求められています。
そのような状況を鑑み、当社の素材の中で、化学工業分野への応用の可能性が広がりつつあるトレハロース、プルランに続きイソマルトデキストリンについても、今回JBPAより生分解性プラ製品に使用可能な製品として承認を取得いたしました。今回の登録で、食品包装や農業資材等、これまでに石油化学品が使用されていた分野での使用が期待されます。当社は、サステナブルな素材を開発、製造、提案することを通じて持続可能な社会へ貢献してまいります。

●参考情報
【バイオプラスチックの定義と特徴】
日本バイオプラスチック協会(JBPA)では、バイオプラスチックを、「原料として再生可能な有機資源由来の物質を含み、化学的又は生物学的に合成することにより得られる高分子材料」と定めています。(化学的に未修飾な天然有機分子材料は除く)
参照:http://www.jbpaweb.net/bp/
【日本バイオプラスチック協会(JBPA)とは?】
循環型社会の実現に重要な役割を果たす新素材であるバイオプラスチック(生分解性プラスチックとバイオマスプラスチックの総称)の普及促進と試験・評価制度の確立を目的に、1989年に設立された民間団体です。関係省庁や関連団体との協力のもと、主に識別表示制度の運営、国際規格ISOへの対応、JIS原案の作成などを行っています。
【日本バイオプラスチック協会(JBPA)の識別制度について】
JBPAの識別制度は、①バイオマスプラ識別表示制度、②生分解性プラ識別表示制度、③海洋生分解性プラ識別表示制度の3つがあり、③については、海洋では陸上に比べて微生物の密度が桁違いに低く、また微生物の種類も陸上とは異なるため、海洋環境においても十分に生分解し、かつ安全性を確認したものを認定する制度として、2023年7月より新たに制度運用が開始されました。
【生分解試験の方法と結果】
JBPAが指定する生分解性試験、海洋生分解性試験に基づき実施。60%以上が生分解される場合、その物質は環境中で速やかに分解される、すなわち「Readily biodegradable(易生分解性)」と判定する。
生分解性試験(OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, No. 301F, July17, 1992)により、培養28日後の生分解性度は60%以上(73%)であったことから、易生分解性物質であることが判明した。
海洋生分解性試験(ASTM-D6691)にて、培養30日後の生分解性度はセルロースと同等(99%)であった。
◆イソマルトデキストリンの化学工学分野への応用に関するお問い合わせ先:
ナガセヴィータ株式会社 新領域開拓部 TEL:086-224-4311(代表)
◆プレスリリースに関するお問い合わせ先:
ナガセヴィータ株式会社 コミュニケーションデザイン部 TEL:086-224-4315