トレハロースとプルランの海洋生分解性の識別表示制度への登録について 脱炭素社会における、化学工業分野への活用を見据え

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NAGASEグループのナガセヴィータ株式会社(本社︓岡山市北区下石井 代表取締役社長︓安場直樹)は、当社が開発、製造、販売を行っているトレハロース(製品名︓トレハ®)およびプルランを、日本バイオプラスチック協会(以下JBPA)の識別表示制度における「海洋生分解性プラポジティブリスト」に製品として登録いたしました。

同協会の別の識別表示制度である「生分解性プラ識別表示」についても2022年3月にポジティブリスト記載基準に適合した資材として登録されています。今回土壌よりも微生物濃度が低く、分解されにくいとされる海洋生分解性プラポジティブリストにも収載され、各生分解性プラ製品に幅広く使用可能なことが示された形です。

http://www.jbpaweb.net/identification/identification-marinebiodegradable/pl/b-8.html

脱炭素社会に向けて、日本国内でも「炭素税」の本格的な導入が検討されるなど、環境負荷低減とサステナブルな素材が化学工業分野でも求められるようになってきています。その中で、当社としては、今回の登録を機会に、食品包材分野、農業分野を中心に、販売活動を広めていく予定です。

  • BPAでは、昨今の海洋プラスチックごみに起因する世界的な環境課題に対応し、2023年7月に新たに「海洋生分解性プラスチックの識別表示制度」が開始されました。

  • 「生分解性」:物質が土や川、海などの自然に排出されて、それらが微生物などに分解されて無機物へ分解されること。

【背景と今後】

私たちの生活に欠かせないプラスチック製品ですが、製品自体が地球上の微生物など自然の力では分解されず、特に海洋プラスチックごみによる海洋汚染は世界規模の環境課題となっています。さらに、製造の際に化石燃料を用い、またそれらを燃やすと、大量の二酸化炭素が発生し、地球温暖化を進めてしまいます。
そのため世界的な脱炭素への取り組みが加速しており、EU圏では「炭素税」を企業に課すなど、サステナビリティの観点でのモノづくりの在り様が急速に変わりつつあります。日本国内でも「炭素税」の本格的な導入が検討されるなど、化学工業分野では土や川、海などの環境中で速やかに分解される「生分解性」を用いたモノづくりへの転換が求められています。
そのような状況を鑑み、当社の素材の中で、化学工業分野への応用の可能性が広がりつつあるトレハロース、プルランについて、今回JBPAより生分解性プラ製品に使用可能な「天然有機材料」製品として承認を取得いたしました。 これまで、この2つの製品は、食品原料や化粧品原料としての展開が主でしたが、今後は生活・食品包装資材、農業用マルチなど化学工業分野への応用についてのご提案も進めます。
当社は、サステナブルな素材を開発、製造、提案することを通じて持続可能な社会へ貢献してまいります。

トレハロース粉末写真(左)、プルラン粉末写真(中央)、プルランフィルム写真(右)

●ご参考

【バイオプラスチックの定義と特徴】
日本バイオプラスチック協会(JBPA)では、バイオプラスチックを、「原料として再生可能な有機資源由来の物質を含み、化学的又は生物学的に合成することにより得られる高分子材料」と定めています。(化学的に未修飾な天然有機分子材料は除く)

参照︓http://www.jbpaweb.net/bp/


【日本バイオプラスチック協会(JBPA)とは︖】
循環型社会の実現に重要な役割を果たす新素材であるバイオプラスチック(生分解性プラスチックとバイオマスプラスチックの総称)の普及促進と試験・評価制度の確立を目的に、1989年に設立された民間団体です。 関係省庁や関連団体との協力のもと、主に識別表示制度の運営、国際規格ISOへの対応、JIS原案の作成などを行っています。


【日本バイオプラスチック協会(JBPA)の識別制度について】
JBPAの識別制度は、①バイオマスプラ識別表示制度、②生分解性プラ識別表示制度、③海洋生分解性プラ識別表示制度の3つがあり、③については、海洋では陸上に比べて微生物の密度が桁違いに低く、また微生物の種類も陸上とは異なるため、海洋環境においても十分に生分解し、かつ安全性を確認したものを認定する制度として、2023年7月より新たに制度運用が開始されました。


【生分解度試験の方法】
外部の試験機関に分析を委託。国際基準ISOのガイドラインに基づき実施。60%以上が生分解される場合、その物質は環境中で速やかに分解される、すなわち「Readily biodegradable(易生分解性)」と判定する。 試験ガイドライン︓OECD Guidelines for the Testing of Chemicals, No. 301F, July17, 1992


◆トレハロース・プルランの化学工学分野への応用に関する問い合わせ先
ナガセヴィータ株式会社 新領域開拓室 電話︓086-224-4311(代表)

◆プレス発表に関する問い合わせ先
ナガセヴィータ株式会社 経営デザイン部 電話︓086-224-4315

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