持続可能な調達(グリーン調達)の実効性を科学で証明~農研機構と菌根菌資材「amxact®」を用いた共同研究を開始~

当社は、2026年4月より、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(本部:茨城県つくば市、理事長:千葉 一裕。以下、農研機構)と、アーバスキュラー菌根菌(以下、AM菌)資材「amxact®(アムザクト)」を用いた国産ネギの安定生産技術に関する共同研究を開始しました。
本共同研究では、AM菌資材「amxact®(アムザクト)」の持つ高い共生ポテンシャルを最大限に引き出すため、植物側との相性に着目します。多品種のスクリーニングを通じて、共生率の高い「品種×菌株」の最適な組み合わせを特定します。さらに、育苗からほ場栽培試験に至る一連の栽培過程の検証を通じて新たな栽培体系を構築することで、国産ネギの安定生産による自給率向上と、肥料(リン酸)の低投入・持続型農業の両立を目指します。
本共同研究は、これまで効果の再現性が不明瞭であった菌根菌資材の活用において、公的機関との連携により科学的なエビデンスを確立するものです。これにより、産地を問わず導入可能な「栽培技術の標準化」を実現し、生産現場から食卓に至る「食のバリューチェーン」の環境負荷低減にも貢献します。
詳細情報
1. 技術的優位性:純粋培養AM菌資材「amxact®」
AM菌は植物の根に共生する絶対共生菌です。従来の菌根菌資材は植物との共培養(土耕培養等)による生産が一般的でしたが、生菌数のばらつきや病原菌による汚染が、市場における菌根菌資材の信頼性を損なう要因となっていました。
当社は、2025年にAM菌の大規模純粋培養および、独自技術による高い生菌数を維持した資材化に成功しました。当社の純粋培養技術と厳格な品質管理により、農業現場における共生効果の再現性を飛躍的に向上させました。
2. 先行研究の成果:リン酸減肥下における生育の維持
大阪府立環境農林水産総合研究所との共同研究では、AM菌を接種することにより、慣行栽培と比較して、リン酸肥料を50%削減した環境下でも収量を維持できることが示唆されました。これは、AM菌の外生菌糸が根圏外の微細な土壌間隙から水分や養分を効率的に吸収し、宿主植物へ供給する機能が、実際のほ場環境下で有効に作用した結果と考えられます。
3. 共同研究の核心:菌根菌との相性評価と栽培体系の構築
AM菌の接種効果は、植物の根の形態やリン酸吸収特性といった遺伝的背景に大きく依存します。本共同研究では、以下のステップで検証を進めます。
スクリーニング:農研機構育成品種を含む市販品種および農研機構保有の多様な遺伝資源約50種類のネギに対し、「amxact」を接種。共生率と生育特性を評価し、相性の良い系統を選抜します。
育苗技術の確立: ほ場での効果発現には定植時の共生率が重要であるため、共生率を安定して高めるための育苗管理技術を確立します。
収量評価:選抜した品種を用い、作型別のほ場実証試験を通じて、慣行栽培に対する収量・品質の優位性を検証します。
用語解説
アーバスキュラー菌根菌(AM菌): 陸上植物の約80%と共生する絶対共生菌 。宿主から光合成産物(脂質・糖)を受け取る代わりに、土壌中のリン酸や水分を供給します。
純粋培養:宿主植物を介さず、人工培地上で特定の微生物のみを培養する技術。AM菌においては2019年の脂肪酸添加による培養法の確立がブレイクスルーとなりました。
本件に関する問い合わせ先
ナガセケムテックス株式会社
経営管理本部 サステナビリティ推進室
NCX_sustainability_office1@nagase.co.jp