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  4. グリーンデナコールの「BPAの代替品」について

BPA(bisphenolA:ビスフェノールA)は、私たちの生活に深く浸透している化学物質です。
しかし、近年ではその安全性に対する懸念の高まりや、枯渇性資源である石油を主な原料としているため、代替品の需要が急速に拡大しています。

ここでは、BPAの代替品として注目されるナガセケムテックスの植物由来の再生可能な原料を基に製造しているグリーンデナコールを中心に、代替品の特性や利点について詳しく解説します。

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目次

  1. ナガセケムテックスのBPA代替品
  2. BPA(ビスフェノールA)とは
  3. BPAが体に及ぼす影響
  4. BPAの代替品の特徴とBPAの比較

ナガセケムテックスのBPA代替品

ナガセケムテックスでは環境に優しいエポキシ樹脂を開発しています。


グリーンデナコールとは?

グリーンデナコール(GREEN DENACOL)は、ナガセケムテックスが開発した、植物由来の原料が基になっているバイオベースエポキシ樹脂です。

安全性への懸念や世界的な規制強化によりBPA代替品の需要が高まる中、グリーンデナコールは環境配慮型の樹脂として注目されています。原料の植物由来率は高く、米国農務省のバイオプリファード認証(USDA)や、日本のバイオマスマーク制度による環境認証も取得済みです。


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BPAに対する利点

BPAが枯渇性資源である石油を主な原料としているのに対し、グリーンデナコールは植物由来の再生可能な原料を基に製造されています。原料となる植物の光合成によって大気中のCO₂を吸収するため、製品ライフサイクル全体でCO₂排出量削減にも貢献しています。

BPAは、体内でホルモンと同様の作用を示すため、内分泌かく乱作用が懸念されており、EUをはじめとする世界各国で規制が強化されています。特に食品接触材においては、使用が原則禁止され、その流れは加速しています。

一方、グリーンデナコールは、BPAのような内分泌かく乱作用を引き起こす懸念のない材料です。バイオプリファード認証(USDA)やバイオマスマークといった環境認証も取得しています。

また、これらの第三者機関による認証取得は、環境性能と製品品質の両面において信頼性を裏付けています。


BPA(ビスフェノールA)とは

BPAは私たちの身近なプラスチック製品や食品包装材に含まれている化学物質で、以下のような特徴を持っています。

BPAの基本的な化学構造と性質

BPAは、化学式 (CH₃)₂C(C₆H₄OH)₂ で表される有機化合物で、分子構造の中心に2つのフェノール基を有しています。

BPA(bisphenol A)

フェノール基に含まれるヒドロキシル基が、他の物質と反応して分子同士を結合させる役割を持ちます。
BPAはこの性質を活かして、ほかの材料と結びつき、高分子(ポリマー)を作る原料として使われています。例えば、エポキシ樹脂やポリカーボネート樹脂といったプラスチックの原料として広く使用されています。
また、BPAの構造に含まれるベンゼン環は、硬くて変形しにくいため、これを使ったプラスチックは丈夫になりやすいという特徴があります。そのため、BPAを使った合成樹脂は、高い耐熱性、透明性、機械的強度などを兼ね備え、幅広い分野で利用されています。


使用されている主な製品・用途

BPAは単体では感熱紙の顕色剤として利用されるほか、ポリカーボネート樹脂やエポキシ樹脂などの合成樹脂を製造するための主要原料として使用されています。これらの樹脂は以下のような製品に幅広く利用されています:

  • 水筒や食品保存容器などのプラスチック製品
  • 缶詰や飲料缶の内面コーティング
  • 自動車・機械部品
  • 電気・電子機器の絶縁部材
  • 建築・土木資材、接着剤 など

BPAは合成高分子の原料として使用される際、高分子構造の一部として取り込まれるため、その有害性リスクは低いと考えられています。

しかし、製造工程で未反応のBPAがわずかに残るため、これらのプラスチックには微量のBPAが含まれる場合があります。


環境面の課題

BPAは、その製造工程や製品の廃棄過程を通じて環境中に放出されることがあります。例えば、BPAを原料とするプラスチック製造工場からの排水や、BPAを含む製品が不適切に廃棄されることで、河川や土壌へ流出する可能性があります。また、陶器や土石製品の製造工程においては、大気中へ排出されるケースもあります。

BPAは、環境中で分解されにくい性質を持つため、水環境や土壌中に長期間残留する可能性があります。さらに、環境中に存在するBPAは、水や食品を通じて人体に取り込まれる可能性があります。BPAは内分泌系に作用することが報告されており、特に成長過程にある段階での曝露については、慎重な評価が求められています。

こうした環境および人体への影響に対する懸念を背景に、BPAに対する規制は世界的に強化される傾向にあります。特に食品接触用途や容器・包装分野では、各国・地域ごとに異なる規制制度が導入されており、ポジティブリスト制度を採用する国・地域と、ネガティブリスト制度を採用する国・地域に大別されます。

ポジティブリスト制度を導入 している国・地域
出典:農林水産省「輸出先国における容器・包装に関する規制」
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/export/e_process/k_packaging.html#bisphenol_a

BPAが体に及ぼす影響

人体への影響として特に懸念されているのは、BPAが持つ「内分泌かく乱作用」です。これは、体内でホルモンのような働きをしたり、本来のホルモンの働きを阻害したりする作用のことです。近年では、従来安全とされていたよりもはるかに低い量でも、特に胎児や乳幼児といった発達段階にある感受性の高い時期に曝露されることによる影響が危惧されています。

主な摂取経路は、BPAを使用したポリカーボネート製の食器や容器、缶詰の内面コーティングなどから食品へ溶け出したBPAを口にする経口摂取です。

一方で、日本国内においては、食品用の器具・容器包装について食品衛生法に基づく規制や基準が設けられており、安全性の確保が図られています。加えて、関連業界では企業による自主的な取り組みも早くから進められており、BPAを使用しない代替素材への切り替えや技術改良が行われてきました。
こうした法規制および業界の取り組みにより、現在、飲食を通じて体内に取り込まれるBPAの量は、極めて微量に抑えられていると考えられています。


BPAの代替品の特徴とBPAの比較

BPAの代替品は、BPAと類似構造を持つ化学物質や全く異なる高機能樹脂、植物由来のバイオベース材料などが挙げられます。

BPS(ビスフェノールS)

特徴

2つのフェノール基がスルホン基(SO₂)で結合

BPS(ビスフェノールS)

BPAとの比較

BPAの代替品としてよく使われる物質です。紙幣や感熱紙に用いられてきましたが、BPA同様に内分泌かく乱作用が疑われており、2023年に高懸念物質(SVHC)として候補物質リストに掲載されました。



BPF(ビスフェノールF)

特徴

2つのフェノール基がメチレン基(CH₂)で結合

BPF(ビスフェノールF)

BPAとの比較

耐候性、電気絶縁性などに優れており、低粘度で作業性も高い物質です。主にエポキシ樹脂の原料として使用されており、電子材料用結合剤やCFRP用結合剤に利用されています。BPAと同程度のホルモン様作用を持ち、内分泌かく乱作用があるとされています。



TMBPF(テトラメチルビスフェノールF)

特徴

4つのメチル基を持つビスフェノールF誘導体

TMBPF(テトラメチルビスフェノールF)

BPAとの比較

BPAやBPFの代替として開発された新しいビスフェノール類です。主にエポキシ樹脂の原料として、特に食品缶の内面コーティングや飲料缶のライニングなど、BPAフリーを求める分野での代替材料として用いられています。

ただし、近年の研究ではラットおよびヒト幹細胞における細胞毒性を指摘している研究もあります。



PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)

特徴

複数のベンゼン環がエーテル基とケトン基でつながった構造を持つ

PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)

BPAとの比較

耐熱性、機械的特性、耐薬品性、食品安全性、難燃性が高く、スーパーエンジニアリングプラスチックのひとつです。

PEEKは、BPAを使用せずに製造されるため、BPAフリーの素材として注目されています。
一方で、非常に強度が高いため加工が難しく、素材自体も高価であるというデメリットがあります。



植物由来の樹脂(バイオベース材料)

特徴

基本骨格を構成する原料が植物由来

BPAとの比較

従来のエポキシ樹脂と同様に、さまざまな硬化剤と反応させることで硬化物が得られ、接着剤、塗料、電気・電子部品、土木建築資材、プリント配線基板など、幅広い分野で使用されています。BPAは内分泌かく乱作用が懸念され一部用途が制限されていますが、植物由来の樹脂は規制対象となりにくい素材です。ただし、物性やコスト面で課題が残る場合もあり、用途に応じた適切な選択が求められます。



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