デナコールの実験室

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バイオベースエポキシ樹脂とは?

バイオベースエポキシ樹脂は、バイオベース(植物由来)の原料を使用した環境に優しいエポキシ樹脂のことです。従来のエポキシ樹脂と同様に、種々の硬化剤と反応させ、接着剤、塗料、電気・電子分野、土木建築、プリント配線基板等様々な分野で使用されています。石油由来(枯渇性原料)の原料を使用したエポキシ樹脂から、環境を配慮した植物由来原料を使用するバイオベースエポキシ樹脂へ市場が変化しつつあります。

標準的なエポキシ樹脂と何が違うのか?

標準的なエポキシ樹脂との一番の違いは、基本骨格に使用する原料が石油由来(枯渇性原料)かバイオベース(植物由来)かということです。バイオベースエポキシ樹脂は、標準的なエポキシ樹脂同様、種々の硬化剤と反応させることで、耐熱性、密着性、絶縁性などの特性が得られます。


バイオベースエポキシを選ぶ理由

従来のエポキシ樹脂ではなく、バイオベースエポキシ樹脂を選ぶ理由は大きく4つです。

カーボンフットプリントの削減

バイオベースエポキシ樹脂は、原料植物の光合成によりカーボンフットプリントの削減に貢献します。そもそもカーボンフットプリントとは、商品やサービスが作られて捨てられるまでの各過程で排出された「温室効果ガスの量」を二酸化炭素(CO₂)量に換算したものです。カーボンフットプリントは、製造企業が自社の製品や活動、サービスによる温室効果ガスの量を把握するためや削減の訴求に有効的です。2023年10月から、EUへ製品を輸出する企業には報告の義務化が開始されています。


持続可能なサプライチェーン

持続可能なサプライチェーンとは、製品やサービスの生産から提供までに関わるすべての段階で、環境や社会的な側面、経済面を考慮して、サプライチェーンの持続運用の可能性を重視するアプローチです。植物由来原料を使うことによって、CO₂排出量の低減やサプライチェーンの透明性などにつながります。


規制遵守

国によっては、環境規制によってエポキシ樹脂の使用が制限されてしまう場合もあります。2022年11月には、エポキシ樹脂で有名なビスフェノールA骨格を持つ素材に対して、欧州連合(EU)が人体および環境に対する内分泌かく乱作用があるとして、高懸念物質(SVHC)に指定しました。そのため、ビスフェノール類を使用した感熱紙や玩具などの用途が制限されています。これらの環境規制に対応するため、バイオベースエポキシ樹脂が有効になる可能性があります。


消費者の需要

近年、消費者の環境意識の向上により、再生可能エネルギーや植物由来原料、再生可能原料の需要が高まりを見せています。バイオベースエポキシ樹脂は、耐久性や耐熱性などの材料特性が向上した製品も登場しているため、石油由来製品の代替として選択の幅が広がってきています。


バイオベースエポキシ樹脂の産業用途

バイオベースエポキシ樹脂の産業用途としては、以下の3つの用途があります。

接着剤

バイオベースエポキシ樹脂は接着剤として、木材、金属そしてプラスチックなど、さまざまな素材に働きます。バイオベースエポキシ樹脂は、環境に配慮したうえで、高い接着性、耐久性、耐化学薬品性を持ち合わせています。


塗料、コーティング

バイオベースエポキシ樹脂は自動車塗料、飲料缶や食品缶のコーティング剤などで使用できます。優れた接着性を持ち、耐候性、耐久性、耐薬品性、耐摩耗性にも優れています。従来の塗料やコーティング材料に対して、持続可能な原料として機能します。


繊維・衣料

繊維や衣料にも、バイオベースエポキシ樹脂は従来と同じように使用できます。繊維表面のコーティング、異種繊維同士の接着、繊維の強度や防水性などを強化する目的が達成可能です。


グリーンデナコールの紹介

グリーンデナコールとは?

グリーンデナコールとは、石油由来(枯渇性資源)から、バイオベース(植物由来)へ切り替えた、サステナブルなエポキシ架橋剤です。最新の製品ラインナップは、下記HPでご確認いただけます。
グリーンデナコール(バイオベースエポキシ) | ナガセケムテックス株式会社 (nagase.com)

以下、一部をご紹介いたします。


GREEN DENACOL GEX-313

本製品は、グリセロールポリグリシジルエーテルという脂肪族多官能エポキシ化合物です。EX-313のバイオベース商品で、バイオベース度は99%より高いです。多官能タイプでありながら低粘度、水溶性で高反応性な点から、水系塗料・粘着剤の架橋剤や繊維の表面処理剤としてご使用いただけます。

DENACOL GEX-313の構造式

SWIPE

エポキシ当量
(g/eq.)
粘度
(mPa・s)
バイオベース度
(%)
全塩素含量(%) 色価
(APHA)
水溶率(%) 包装
141 150 > 99 9 10 99 20kg、220kg

*バイオベース度:バイオマス原料を使用したバイオベース製品中のバイオマス原料使用率である「バイオベース炭素含有率」


カタログをダウンロード(PDF)


GREEN DENACOL GEX-512

本製品は、ポリグリセロールポリグリシジルエーテルという脂肪族多官能エポキシ化合物です。EX-512のバイオベース商品で、バイオベース度は99%より高いです。多官能、水溶性で高反応性な点から、水系塗料・粘着剤の架橋剤や繊維の表面処理剤としてご使用いただけます。

DENACOL GEX-512の構造式

SWIPE

エポキシ当量
(g/eq.)
粘度
(mPa・s)
バイオベース度
(%)
全塩素含量(%) 色価
(APHA)
水溶率(%) 包装
168 1,300 > 99 6.5 40 100 20kg、220kg

カタログをダウンロード(PDF)


GREEN DENACOL GEX-622

本製品は、ソルビトールポリグリシジルエーテルのという脂肪族多官能エポキシ化合物です。EX-622のバイオベース商品で、バイオベース度は99%以上です。多官能、疎水性で高反応性な点から、塗料・粘着剤の架橋剤、繊維の表面処理剤や反応性粘度調整剤としてご使用いただけます。

DENACOL GEX-622の構造式

SWIPE

エポキシ当量
(g/eq.)
粘度
(mPa・s)
バイオベース度
(%)
全塩素含量(%) 色価
(Gardner)
水溶率(%) 包装
191 11,800 > 99 19.4 2 不溶 18kg、200kg

カタログをダウンロード(PDF)



バイオベースエポキシ樹脂についての質問

バイオベースエポキシ樹脂とは何からできているのですか?

バイオベースエポキシ樹脂は植物由来原料を使用したエポキシ樹脂のことです。弊社商品のグリーンデナコールは品番によって、使用している原料は異なります。詳しくは担当者までお問い合わせください。

グリーンデナコールの品質は通常のデナコールと差はありますか?

いいえ。通常のデナコールとグリーンデナコールのグレードに差はありません。品質規格について知りたい場合には、担当者までお問い合わせください。

グリーンデナコールは量産可能ですか?

はい。グリーンデナコールは量産体制が整っています。必要な量が決まっている場合には、担当者までお問合せください。