デナコールEX-614B、グリーンデナコールGEX-614Bを用いた乾燥速度、およびガラス転移温度(Tg)に関する検討
本実験では一般的なビスフェノールA型エポキシ樹脂とアミンの硬化系において、ソルビトール型エポキシであるデナコールEX-614B、および植物由来原料を使用したグリーンデナコールGEX-614Bを添加した場合の乾燥速度、およびガラス転移温度の比較評価を行いました。
乾燥速度の比較評価
ビスフェノールA型エポキシ樹脂にデナコールおよびグリーンデナコールを添加した場合の乾燥速度への影響を評価しました。配合組成は以下となります。
【結果】
- 評価組成 :
- エポキシ樹脂、アミン硬化剤(イソホロンジアミン)、メチルエチルケトン
- 乾燥条件 :
- 室温(20~25℃)
- 評価方法 :
- ガラス上に塗工し、表面がタックレスになるまでの時間を測定
図1は、ガラス基板上に塗布し、室温で硬化させた際の乾燥時間を測定した結果です。
一般的なビスフェノールA型エポキシ樹脂のみを使用した場合、塗布後8時間を経過しても塗膜表面にタック(べたつき)が残り、乾燥が不十分であることが確認されました。一方で、ビスフェノールA型エポキシ樹脂に対し、デナコールEX-614BおよびグリーンデナコールGEX-614Bを7:3の割合で混合したエポキシ樹脂を用いた場合、塗布後約3時間で塗膜表面のタックが消失し、十分に乾燥していることが確認されました。
この乾燥速度の向上は、EX-614B、GEX-614Bが分子内に複数のエポキシ基を有する多官能タイプであることに起因すると考えられます。また、植物由来原料を使用した高バイオベースエポキシ化合物であるGEX-614BはEX-614Bと同様の性能を示すことが確認されました。
ガラス転移温度(Tg)の比較検討
次にデナコール、グリーンデナコール添加の有無でTgがどのように変化するか比較評価を行いました。
- 評価組成 :
- エポキシ樹脂、アミン硬化剤(イソホロンジアミン)、メチルエチルケトン
- 乾燥条件 :
- 80℃×4h ⇒ 150℃×1h
- 評価方法 :
- アルミ板上に塗工し、塗膜のTgを測定
図2.は表1.の配合条件で十分に加熱硬化させた場合のTgを測定した結果です。ビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用した場合、Tgは約150℃を示すのに対し、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とデナコールEX-614B、およびグリーンデナコールGEX-614Bを7:3の割合で混合したエポキシ樹脂を用いた場合、Tgが約15℃程度低下することが確認されました。この結果は、剛直な芳香族部位を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂と比較して、デナコールEX-614B、グリーンデナコールGEX-614Bは柔軟な脂肪族骨格を有するエポキシであることが理由と考えられます。また、デナコールEX-614B、グリーンデナコールGEX-614Bともに、同様の性能を示すことが確認されました。
これらの結果から、デナコール、およびグリーンデナコールを用いた場合、乾燥時間の短縮や低温での硬化が可能となり、生産効率の向上やエネルギー消費の削減といったメリットが期待されます。一方で、耐熱性は芳香族エポキシを用いた場合に比べて低下するため、求める耐熱性に合わせて配合量を最適化することが必要です。
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