塗料用途でのデナコールの効果について -架橋剤比較実験-
デナコールの代表的な使用用途のひとつに塗料の架橋剤があります。
今回は塗料用途でのデナコールの効果について実験を行いました。
まず、デナコールを塗料の架橋剤として使用すると次のような効果が得られます。
- 基材との密着性の改善
- 塗膜の耐水性の改善
- 塗膜の耐溶剤性の改善
- 基材追従性の改善
今回はデナコール添加の有無で密着性や耐水性がどのくらい変わるか実験を行いました。
使用するデナコールは
「EX-614B」「EX-313」「EX-810」
の3製品です。
成膜条件及び試験方法
基材:ブリキ、PC/ABS、6ナイロンの3種類
塗布膜厚:Dry 10μm (バーコーター)
乾燥条件:130℃×1hr (送風乾燥機)
耐水試験:60℃ウォーターバス・5時間浸漬
バーコーターで成膜し、送風乾燥機で乾燥後、碁盤目試験で密着性試験行う。
その後、耐水性試験を行い、外観の確認と碁盤目試験にて密着性試験を行った。
実験結果
ブリキ基材
ブリキの初期密着性は「デナコール添加あり」のほうが「デナコール添加なし」に比べて密着性が優れていました。その後行った耐水性試験では「デナコール添加なし」は外観が大きく変化しました。
また溶剤系の「EX-614B」、「EX-313」添加品については、耐水性試験後の密着性も良好な結果が得られました。
●耐水性試験後の写真
水系
溶剤系PC/ABS基材
PC/ABSの初期密着性は添加の有無にかかわらずほぼクリアしましたが、
その後行った耐水性試験では「デナコール添加なし」は膜が溶解し、外観が大きく変化しました。
また溶剤系の「EX-614B」「EX-313」「EX-810」添加品については、耐水性試験後の密着性も良好な結果が得られました。
●耐水性試験後の光学顕微鏡観察
※PC/ABS基材は写真で違いがわかりにくいため、光学顕微鏡画像で比較しています。
水系
溶剤系
6ナイロン(GF30%)基材
6ナイロンの初期密着性は「デナコール添加あり」のほうが「デナコール添加なし」に比べて密着性が優れていました。その後行った耐水性試験では「デナコール添加なし」は塗膜が膨れ、外観が変化しました。
また水系の「EX-614B」「EX-313」「EX-810」と溶剤系の「EX-614B」「EX-313」添加品については、耐水性試験後の密着性も良好な結果が得られました。
●耐水性試験後の光学顕微鏡観察
※6ナイロン基材は写真で違いがわかりにくいため、光学顕微鏡画像で比較しています。
水系
溶剤系
今回は3種類の基材を選定し、デナコールの有無で試験を行いましたが、初期の密着性ではデナコールを添加したほうが優れていました。
またその後行った耐水性試験でもデナコール添加することで、耐水性及び密着性を改善できるケースがありました。
このように水系や溶剤系のどちらでも架橋剤としてご使用いただけることがお分かりいただけたでしょうか?
使用する基材やデナコール製品のグレードの選定によって違いはありますが、ご使用いただく環境に合わせて最適なデナコール製品をご提案できますのでお気軽にお問い合わせください。
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