デナコールの実験室

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(ナガセケムテックスのサステナビリティ)

今回は千葉工業大学の柴田充弘教授の「デナコールのバイオベースエポキシ樹脂としての使用事例」についてご紹介いたします。

柴田 充弘教授
所属
千葉工業大学 工学部 応用化学科 (学部)
千葉工業大学大学院 工学研究科 応用化学専攻 (修士課程)
千葉工業大学大学院 工学研究科 工学専攻 (博士後期課程)

■ 研究概要
「天然資源から誘導される環境適合型高分子及び複合材料の創製」。近い将来の石油資源枯渇やプラスチック廃棄物の処理にともなう環境問題に対応するために、セルロース、でんぷん、植物油脂やタンパク質などの生物資源を利用して環境にやさしいプラスチックを合成している。さらに、それらのバイオベースプラスチックに天然繊維や天然鉱物を混ぜ合わせて環境にやさしい複合材料を作る研究を行っている。

■ 専門分野
高分子材料, 高分子化学, グリーンサステナブルケミストリー、環境化学, ナノ構造化学, 環境負荷低減技術、保全修復技術, 複合材料、界面, 構造材料、機能材料
※千葉工業大学. 「研究者情報」.
https://www.lib.it-chiba.ac.jp/cithp/KgApp?resId=S000122 ,(参照 2021-8-17)

 

デナコールのバイオベースエポキシ樹脂としての使用事例

将来的な石油資源の枯渇、石油から誘導されるプラスチックの焼却処理に伴う地球温暖化などの資源・エネルギー・環境問題を解決するための方法として再生可能なバイオマス資源から誘導されるポリマー(バイオベースポリマー)が大きな注目を集めています。デナコールEX-614B(図1.ソルビトールポリグリシジルエーテル)の原料であるソルビトールはとうもろこしやイモ類から得られるでんぷんの加水分解で生じるグルコースの還元により得られます。もう一つの原料であるエピクロルヒドリンは、現在は石油由来ですが、植物油脂の加メタノール分解により得られるグリセロールから製造することが可能です。デナコールEX-614Bとバイオマス由来の硬化剤(バイオベース硬化剤)を組み合わせることにより得られるバイオベースエポキシ熱硬化物は石油由来エポキシ熱硬化物の代替として非常に興味深い材料です。
エポキシ樹脂 デナコール EX-614B バイオベースエポキシ樹脂

タンニン酸 ケルセチン 化学構造 バイオベースエポキシ

ウルシ科植物のヌルデに、アブラムシ科の昆虫が刺傷を作ることにより生ずる虫こぶを乾燥させたタンニン酸と、玉葱の皮に多く含まれるフラボノイドのケルセチン(図2.)を、デナコールEX-614Bのフェノール系バイオベース硬化剤として用いた熱硬化物の熱および力学物性を表1.に示す。1),2)
比較としてバイオベースエポキシ樹脂として代表的な大豆油エポキシ樹脂(ESO)とタンニン酸の熱硬化物の物性を示す。3)
デナコールEX-614B/タンニン酸、デナコールEX-614B/ケルセチンとESO/タンニン酸は、それぞれ混合溶媒として水、テトラヒドロフランとエタノールを使用した。いずれの硬化物も最も物性の良かったエポキシ/フェノール性ヒドロキシ基比での物性値の比較である。

バイオベースエポキシ樹脂 デナコールEX-614B
表1.から明らかなようにバイオベースエポキシ樹脂としてESOよりもデナコールEX-614Bを用いた方が優れた熱・力学物性を示すことが分かる。

【参考文献】
1) Preparation and properties of biocomposites composed of bio-based epoxy resin, tannic acid, and microfibrillated cellulose, Mitsuhiro Shibata, Koichi Nakai, J. Polym. Sci. Part B: Polym. Phys., 48(4), 425-433(2010). https://doi.org/10.1002/polb.21903.
2) Thermal and mechanical properties of sorbitol-based epoxy resin cured with quercetin and the biocomposites with wood flour, Mitsuhiro Shibata, Satoru Yoshihara, Mio Yashiro, Yukito Ohno, J. Appl. Polym. Sci.,128(5),2753-2758 (2013). https://doi.org/10.1002/app.38438.


※デナコールEX-614Bについては石油由来の原料も使用しております。
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