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コンデンサー用導電性高分子(ポリマー)として使用できるデナトロンの特性

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2026/06/01

電解コンデンサの性能を左右する要素の一つが、電極間に使用される導電性材料です。近年では、電解液に代わって高分子材料である導電性ポリマーを用いたタイプが注目を集めています。
本記事では、導電性ポリマーの基本構造からドーピング機構、そしてナガセケムテックス株式会社が提供する「デナトロン」の強みについても解説していきます。

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導電性高分子(ポリマー)とは

導電性高分子とは、電気を通す性質を持つ高分子材料(ポリマー)のことです。ポリマー(重合体)とはモノマー(単量体)が重合してできた化合物のことで、重合後、ドーピングした構造を取ることで、導電性が発現します。

導電性高分子を使用するコンデンサーの種類

導電性高分子を使用するコンデンサーは大きく二種類に分けられます。

コンデンサー

導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ

導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサとは、電解液と導電性高分子の両方の性質を持つアルミを電極に使用した電解コンデンサです。

電解コンデンサは三種類あります。
● 電解液タイプ
● 導電性高分子タイプ
● ハイブリッドタイプ(電解液+導電性高分子)

電解液タイプの電解コンデンサは、酸化皮膜に覆われた陽極、電解液を含浸させたセパレーター、そして陰極により構成されています。酸化皮膜は電流が通る方向を一定にする性質をもっています。これにより、陽極から誘電体(セパレーター)を通って陰極に電流が流れるのです。
一方、導電性高分子タイプは電解液ではなく、導電性高分子を誘電体として用いたアルミ電解コンデンサです。電解液タイプに比べてリプル電流(コンデンサに流せる電流)が大きく、ESR(等価直列抵抗)が小さいというメリットはありますが、LC(漏れ電流)が大きく静電容量が小さいというデメリットもあります。
LCが大きい理由として、誘導体の性質が挙げられます。導電性高分子は本質的にイオン導電性を有していないため、電解液タイプに比べて酸化被膜の修復性が劣っています。そのため、一度酸化皮膜に欠陥が発生すると、そこから漏れ電流が発生するのです。
そこで有効なのがハイブリッドタイプのアルミ電解コンデンサです。両方のメリットを持ち合わせるため、機能性が高く使いやすいのが特徴です。

表1.アルミ電解コンデンサの種類と特徴

横にスクロールしてご覧ください。

  電解液タイプ 導電性高分子タイプ ハイブリッドタイプ
電解質 電解液 導電性高分子 電解液+導電性高分子
静電容量
LC(漏れ電流)
リプル電流
ESR(等価直列抵抗)

導電性高分子タンタル固体電解コンデンサ

表1.の分類のうち電解質に導電性高分子を用い、電極にタンタルという金属を用いたのが導電性高分子タンタル固体電解コンデンサです。タンタルはアルミニウムと同様に高い導電性と、安定した酸化皮膜を形成するため、電解コンデンサの電極に向いている金属です。また、アルミ電解コンデンサが円筒形なのに対して、導電性高分子タンタル固体電解コンデンサは板状の薄い直方体であり広い面を使ってプリント基板に実装されるため、結果的に背が低くなり省スペース化に役立ちます。

コンデンサ用導電性ポリマーの種類

コンデンサ用の導電性ポリマーにはいくつかの種類があります。ここでは代表的な4種類を紹介します。

PEDOT:PSS

PEDOT:PSSとは、PEDOT(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン))とPSS(ポリスチレンスルホン酸)から成る導電性ポリマー(高分子)です。安定性、透明性、成膜性に優れていることから、コンデンサ以外にも帯電防止フィルムやタッチパネルにも使用されます。

PEDOT:PSS

PEDOT:PSSは、PSSがPEDOTから電子を引き抜くことでバイポーラロン(ジカチオン)が生成されます。これが分子内を移動したり、分子間をホッピングしたりすることで、導電性を有しているのです。

ポリピロール (PPy)

ポリピロールは電解液に比べて導電性が高い材料で、PEDOT:PSSと並んで金属に近いレベルの導電性を有するものもあります。そのため、導電性高分子の代表的な材料として古くから使用されてきました。導電性能はドーピングにより調整可能で、ドーピング(酸化)すると導電性が向上し、脱ドーピング(還元)すると導電性が低下します。また、大気中での安定性が高いため、さまざまな雰囲気の中で使用できるのも特徴です。
金属に匹敵する導電性をもつ一方、金属とは異なり高い柔軟性を有しています。そのため、電解コンデンサのように円筒状に巻くことができるほか、フレキシブルな素材として活用できるのです。温度特性にも特徴があり、温度が高くなるほど導電性が増すという、半導体と同じ傾向を持ちます。ただし、導電性は温度だけでなく、製作時の条件によって異なってしまいます。

ポリアニリン (PANI)

ポリアニリンも他の導電性ポリマーと同様に導電性高分子タイプの電解コンデンサに使用されます。高い導電性を持ちますが、状態によって導電性が異なります。

● 全還元状態(ロイコエメラルジン)
● 半酸化状態(エメラルジン)
● 完全酸化状態(ペルニグラニリン)
● エメラルジン塩(プロトン化されたエメラルジン塩基)

上記の内、導電性をもつのはエメラルジン塩のみで、他の三つの状態は絶縁体です。他の特徴はポリピロールと同様で、導電性の温度依存性、柔軟性、大気中での安定性をもちます。

ポリアセチレン (PA)

ポリアセチレンも高い導電性を有しますが、異性体の構造に依存します。シス型とトランス型という二つの異性体があり、一般的にはトランス型の方が高い導電性を示します。大気中で安定する他の導電性ポリマーと違って酸化されやすく、不溶性で融解しないため加工しづらいという特徴があるのです。温度依存性については他の導電性ポリマーと同様に、温度上昇により導電率が高くなります。

コンデンサ向け導電性コーティング材、DENATRON

最後に導電性高分子であるデナトロンについて解説します。

DENATRONとは

DENATRON(デナトロン)とは、PEDOT:PSSに添加剤を加えたコンデンサー向け導電性高分子です。高い導電性を誇るため、コンデンサだけでなく、フレキシブル端末やタッチディスプレイにも使用されます。
その他、デナトロンにはCNT(カーボンナノチューブ)をベースにしたタイプもありますが、コンデンサ向けにはPEDOT:PSSをベースにしたタイプのみ使用可能です。

DENATRONの特徴

デナトロンにはいくつかの特徴があります。まず、電子導電型の導電機構のため湿度の影響を受けづらく、導電性が安定しています。また、表面抵抗率を102〜1010Ω/sqの範囲で調節可能なため、電気を通す(102Ω/sq程度)〜電気を通しにくい(1010Ω/sq)まで導電率を調整可能です。加工性にも優れているため、幅広いサイズの電解コンデンサに使用可能です。
環境に優しい、高い透明性など他の用途で使用するときに有効な特性も持ち合わせます。

DENATRONの特徴

アルミ電解コンデンサへの適用事例

アルミ箔を陽極/陰極、誘電体をデナトロンとしたアルミ電解コンデンサに適用されています。一定周波数までの範囲においてインピーダンスが次第に低くなり(導電性が高くなり)、100kHz付近で最も低くなり、その後上昇するという傾向を持ちます。100kHz付近では市販のPEDOT:PSSより低いインピーダンスを示すことから、デナトロンの方が導電性ポリマーとして高い性能をもつことが分かります。
デナトロンを適用したアルミ電解コンデンサ(開発品)のスペックを表2.に示します。

表2.アルミ電解コンデンサ(開発品)のスペック

横にスクロールしてご覧ください。

項目
導電率(S/cm) 500~1000
粘度(mPa・s) 40~100
pH 7~8
固形分(%) 0.5~15
粒径D50(nm) 2~10
静電容量(uF)
25℃,120Hz
119
ESR(mΩ) 44
tanδ ※損失角の正接
25℃,120Hz
0.03
漏れ電流(uA)
25℃,10V,1min後
20

開発品であるアルミ電解コンデンサは次のような手順で製作します。

1.アルミ箔にリード線を溶接
2.化成処理
3.導電性高分子の含浸・乾燥
4.銀ペースト塗布
5.リード線取り付け
6.乾燥・硬化
7.電極取り付け
8.エージング

デナトロンに関するお問合せ

デナトロンはPEDOT:PSSをベースにしたコンデンサ向け導電性高分子でありながら、市販されているPEDOT:PSSより高い導電性を誇る材料です。
ナガセケムテックス株式会社はお客さまの製品開発や品質向上のパートナーとして、最適な導電ソリューションをご提供いたします。コンデンサ向け導電性高分子の選定にお困りのお客さまはこちらまでご連絡ください。

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