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静電気の工業への影響と対策について

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2021/02/02

日常で、プラスチック製品にホコリが付きやすかったり、紙やフィルムがめくり難かったりすることはないでしょうか。
ホコリがつきやすいなどの現象は、物質が帯電するために起こります。
帯電とは、異なる物質を擦り合わせたり、くっついているものを離したりすると、物質中の電子が移動して電荷の偏りができる状態です。
帯電しているモノや人が接触すると静電気の放電(ESD)が発生します。
そこで静電気対策が必要になってくるのですが、特に工業においては静電気の影響が大きく関わってきます。

工業への静電気の影響

静電気は工業において様々な弊害をもたらします。

例えば

  • 電子部品を入れるトレー(キャリアテープ等)が帯電し、ホコリが付く
  • ETなどのプラスチックフィルムが帯電し、ホコリが付く
  • 静電気放電で半導体素子が壊れる
  • 静電気放電が有機溶剤や粉じんに引火し爆発する

など、様々な影響を及ぼしています。
(ちなみに、コピー機の印刷に利用されるなど、悪いことばかりではありません)

様々な帯電防止策

様々な影響がある静電気ですが、対策としてはどういったものがあげられるのでしょうか。
それは「帯電しにくい状態、もしくは帯電してもすぐ解消できる状態を作ること」です。
基本的には、電子(電気)の通り道を確保することが重要になります。

導体にはアース(接地)を取る

導体であれば、電子の移動がスムーズにできるので、一部アースを取れば大地から電子の供給または放出経路ができ、帯電しにくい状態を作れます。ただし絶縁体は自由に電子の移動ができないため、効果がありません。

湿度を上げる

湿度が高いと、物質表面に吸着する水分も多くなります。この水分が物質表面の電気伝導性を上げるため、帯電が起こりにくくなります。夏にあまり静電気の話を聞かないのは湿度が高いためです。
しかし、湿気を嫌うものを扱っている場合や、湿度管理が不可能な場合は適応が難しい方法です。

イオンを与える

イオナイザーで帯電している電荷と反対の電荷を与えて中和します。
簡単にできますが、イオナイザーを設置している環境下のみ有効となります。

絶縁体を導体にする (練りこみ)

プラスチック、ゴムなどの絶縁体は帯電しやすいので、成型する前に導電性の粒子を練りこむ方法があります。練りこむものとして、カーボンブラックや界面活性剤などが使われています。
練りこむと、その素材全体が導電体になるため、耐久性は高いですが、素材本来の性能が損なわれてしまう恐れがあります。

絶縁体の表面を導体にする (コーティング)

表面に薄く導電性の層をコーティングする方法です。比較的簡便なため、広く適応されています。
分類として、界面活性剤をコーティングするイオン伝導型と、金属や導電性高分子をコーティングする電子伝導型があります。
イオン伝導型は、界面活性剤の親水基が大気中の水分を物質表面に引き寄せ、水分中でイオンが移動することにより、電子を運びます。水分を必要とするため、湿度が低いと効果が弱まります。
電子伝導型はその名の通り、コーティングそのものが電子の通り道を作ります。

デナトロンはPEDOT:PSSという導電性高分子をベースとしたコーティング剤なので、この部類となります。

電子伝導型であるデナトロンと、イオン伝導型をPETフィルムに塗布し、湿度を変えて表面抵抗率を測定したデータを載せます。


帯電防止用途でよく使われるのは104~1013Ω/sq.の表面抵抗率となるので、イオン伝導型だと、低湿度で効果が弱まってしまうことが分かります。

帯電防止グレードについて、詳しくはこちらをご確認ください。

透明なコーティングによる帯電防止をご検討の場合は、デナトロンが適応できるかもしれませんので、ぜひご相談ください。

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