Story 03
掛け算がもたらしたもの
エレクトロニクス事業
エレクトロニクス事業
研究力×ネットワーク力
グループの連携を最大限生かした、
開発提案
エレクトロニクス事業×ナガセケムテックス株式会社
化学系専門商社であるNAGASEグループ内にありながら、化学メーカーとして製造機能を持つナガセケムテックス株式会社。グループ会社としての連携力を生かし、西日本長瀬と共同での研究開発を進めています。お客様が求める機能や性能をどのように実現して、製品を作っていくのか。グループの同期という2人から、現状のプロジェクトや仕事の進め方について伺いました。
- Partnerパートナー
- ナガセケムテックス株式会社
- 2001年に、化学合成・配合設計・バイオ技術を持ったNAGASEグループ4社の統合により誕生した、ナガセケムテックス株式会社。機能樹脂事業部、精密加工材料事業部、機能化学品事業部の3つの事業部を持ち、NAGASEグループの製造機能の中核として、多種多様な化学製品の研究開発・製造を行っている。中国や米国にも生産拠点を持つ。
- Products取り扱い製品
- デナトロン
- ナガセケムテックスが開発した、透明導電性コーティング剤。ブルーの液体で、表面に薄く塗ると導電性のある塗膜が作れる。用途は、液晶ディスプレイの静電気防止剤など。ポリチオフェン系導電性ポリマー「PEDOT:PSS」を使用した導電材料を開発・販売したのはNAGASEグループが初で、20年以上の製造実績を誇るトップブランドとなっている。
Project Member
-
平野 哲史
西日本長瀬
エレクトロニクス事業 -
常田 義真 様
ナガセケムテックス株式会社
機械化学品事業部
開発案件を機に、10年越しの再会
おふたりの関係は、どのように始まったのですか?
平野
私は2012 年に西日本長瀬に入社して、最初は化成品や医薬品分野の営業を担当していました。エレクトロニクス事業に異動してからは、主に九州の半導体の製造プロセスに関わる材料を扱っています。
常田
私も同じく2012年にナガセケムテックスに入社して、平野さんとは入社後のNAGASEグループ全体の研修の場で会っています。その時はお互い、特別な印象はなかったんですが、西日本から来たもの同士の密かな連帯感はあったかもしれません(笑) その後、私は製品開発部に配属になりデナトロンの開発などを10年くらい行い、数年前より営業開発部に移りました。今回、あるお客様のための新規開発案件で平野さんとやり取りをするようになり、そこで研修以来、約10年越しにお互いを確認し合いました。
平野
「そういえば、あの時、おったよな?」って(笑)
常田
そうそう(笑) 2社での定常的なやり取りはなかったんですが、今回のような開発案件があると、動き出します。
平野
私がエレクトロニクス事業に異動になった頃、得意先を開拓していく中で、あるフィルムメーカーを訪問しました。その時に、導電性塗料が欲しいと言われ、ナガセケムテックスさんに相談に行ったんです。デナトロンのサンプルを出してもらったんですが、求めるスペックに足りず、そこからナガセケムテックスさんとの開発に入っていきました。当時は採用まで至らず、話が流れてしまったんですが、2年ほど前に同じメーカーから再度コンタクトがあり、今また研究開発を進めているところです。
常田
当時は私が開発側の担当で、案件として成立させられずに悔しい思いもしました。いま、営業開発部として平野さんと直接やりとりしながら、今回こそは実現させたいと意気込んでいます。
デナトロンという製品の強みと、研究開発の進め方について聞かせてください。
常田
デナトロンは透明導電性コーティング剤と呼ばれ、塗布したものにナノレベルの透明な膜を作り、導電性を持たせるものです。一番使われている用途は静電気防止で、例えば電子機器を買った時にディスプレイに貼り付いているフィルムなどに使われています。静電気を電子機器ではなく、フィルム側に安全に流すために使います。透明導電性コーティング剤の開発と販売はNAGASEグループの長年の強みだったのですが、開発から年数が経ち、競合他社も増えてきました。導電性を持たせるだけなら、他社でもできます。そこで、デナトロンにいろんな特性を付与して、メーカーが求めるスペックに仕立てていくのが、研究開発の仕事になります。平野さんのような営業の方から、求めるスペックを聞き、それに合うサンプルを出してメーカーに評価してもらい、フィードバックを受けて改良を進める、という流れですね。
平野
今やりとりしているメーカーは情報開示いただいているので進めやすいのですが、時にはメーカーの求めているスペックの意図や根拠が、わかりにくいこともあります。メーカー側はさらに納める先との関係がありますから、秘密保持などでフワッとした情報しか降りて来ないケースが多く、「こんなものを作りたい、でもあまり詳細は言えない」ということもあって。しかしそれではナガセケムテックスさん側が開発を進めにくいので、なるべくメーカー側の意図を汲み取れるように細かく質問したりして、間を繋いでいくのが私の役割ですね。
早く無駄なく、期待に応える
お互いがNAGASEグループであるメリットを、どのように感じていますか?
平野
メリットはもう、数えきれないくらいありますよ。通常ですと、採用に至るかわからない開発案件を他社にはなかなか依頼しにくい。でも先方のニーズを満たす製品がもし開発できれば、双方のメリットは大きいわけですから、グループ内なら自然と協力してチャレンジしようという姿勢になります。同期ということもあって、コミュニケーションもスムーズです。他社に依頼していたら言い方から気をつけないといけませんが、ここでは単刀直入に本題を話し合うことができ、スピードも早いですね。
常田
私たちとしても、知らない商社を介してうちの製品を販売してもらうより、グループ内で扱ってもらう方がいろいろと都合が良いのは確かです。グループ会社だと技術的な内容などの詳細を開示しやすいですし、お客様が求めるなら私が打ち合わせに行って、細かい技術の話を直接伝えることもできます。NAGASEグループ内の他社とも連携して、多面的な情報を得ることもできますしね。
平野
商社というのは、新規顧客に飛びこむと役割を実感してもらいづらく、存在意義を問われたりするんですよ。その中でNAGASEグループの製品は自社製品として取り扱うことができるので、わかりやすいアプローチになります。最初の関門をクリアすれば、あとは日々のやり取りの中で製品自体の価値や商社の機能をお伝えしていければ良いので。
西日本長瀬との関係において、今後さらに期待することをお聞かせください。
常田
私にとって平野さんは、勝手に仕事を進めてくれる人。ちゃんと全体に目が行き届いていて、先方の言っていることも正確に伝えてくれる。その上でニュアンスをやわらげたり、自分はこう思うという意見も加えてくれます。自分たちのやるべきことをやっていれば、平野さんがいい形で先に進めてくれるのでとても助かっています。なので急に電話がかかってくると、ドキッとしますね。悪い知らせかな、って(笑)
平野
常田さんはずっと開発に関わってこられたので、私がわからない技術のことも相談したら教えてもらえますし、解決に向かえます。とても頼りにさせてもらってますね。
常田
逆に平野さんの営業としてのネットワークもまた、私たち自身ではアクセスできない貴重なものなんですよ。例えば今、半導体関連の情報は九州に集まってきているので、我々よりはるかに平野さんや西日本長瀬さんが熟知しています。土地勘があったり、現地で動いている人たちと直接の繋がりがあることは、やはり強みになりますね。
平野
常田さんや私が直接関わっていない案件でも、ナガセケムテックスさんの商品をもっと広げていきましょうという会議は、うちの社内でも頻繁にしています。私たちとしても、NAGASEグループのメリットを最大限に活かして、より必要とされる存在になっていきたいですね。
※掲載されている情報や部署名は取材当時のものです。