Story 01

掛け算がもたらしたもの

化成品事業

化成品事業

開発力×販売力
メーカーと商社の、
協働製品開発物語

化成品事業×株式会社ダイイチ

強い除菌力がありながら、食品用途として安全性の高い除菌剤「DF30」。西日本長瀬は、開発元のダイイチと独占契約を結び、販路拡大に尽力しています。西日本長瀬として前例のなかった食品分野で、どのように取り組みを進めていったのか。強いパートナーシップが伺える取材となりました。

Partnerパートナー
株式会社ダイイチ
創業は1954年。戦後の食糧不足の中、有明海での海苔の養殖を支える、養殖用網の製造が事業の起こり。その技術を生かして産業用ネットなどの開発、さらに化成品部門として海苔養殖時に使う栄養剤などの開発を行っている。2024年に創業70年を迎え、第一製網よりダイイチと社名変更。
Products取り扱い製品
DF-30
ダイイチが開発した、食品添加物フマル酸製剤。除菌力が高く、口に入っても問題がないほど安全。かつ臭気がほとんどなく、水で洗い流せば味にもほぼ影響がないことから、カット野菜など生で食べる食品の除菌に多く用いられている。また、この特徴を生かし、安全な除菌成分としてサニタリー業界に対して裾野を広げている。

Project Member

  • 石橋 崇正

    西日本長瀬
    化成品事業
    課統括

  • 垂水 和津

    西日本長瀬
    化成品事業

  • 山本 哲也 様

    ダイイチ
    研究開発本部
    取締役本部長

  • 松岡 靖浩 様

    ダイイチ
    資材部次長

用途開発から販売まで、一気通貫

2社の関係は、どのように始まったのですか?

山本

私たちは海苔養殖の網の製造からスタートして、網やさまざまな資材、養殖用の肥料や栄養剤などを製造しています。その中で、ビル建設の際に用いられる安全ネットの防炎化を相談したのが最初だと聞いています。

石橋

はい。網に防炎加工を施す防炎剤の卸しから始まって、肥料の原料など複数品目を提供させていただいています。

山本

私と石橋さんは、熊本大学の先輩後輩の関係なんですよ。うちの前部長も、西日本長瀬さんの元社長も同じ大学で、大学を含めた産学官のコンソーシアムなどで卒業後もつながりを持ち続けてきました。

石橋

いつも可愛がっていただいてます(笑)

松岡

私は、石橋さんとの業務上のやりとりは少なかったんですが、ある日友人の結婚式に出席したら、隣で石橋さんも挙式をしていて、新郎姿が目に焼き付いています。そこから勝手に親近感を感じていますね(笑)

DF30の開発背景と、西日本長瀬の販売独占契約に至った経緯についても教えてください。

山本

前部長の発案で、弊社は高い除菌力を持つフマル酸には以前から注目していましたが、水に溶けにくいという欠点があり、用途が限定されていました。そこで活用シーンを増やすため、水に溶けやすく改良していく研究開発の過程で生まれたのが、DF30です。除菌力や無臭であることなど多くの強みを持つ自信作でしたが、私たちはメーカーなので、販売先の開拓までは手が回らない。そこで、西日本長瀬さんに入っていただきました。製剤特許は自社で持ちつつ、用途開発特許を西日本長瀬さんと連携しながら取得していきましたね。

石橋

ちょうどその頃、カット済みの野菜が世の中に出回り始めていて、ここに需要があるだろうと見込んでいました。しかし、弊社は食品業界には参入していないため肌感がわからず、二の足を踏んでいました。そこで他を探し、業務用洗剤などを作るメーカーとの取引に至ったんですが……。

松岡

確か、大口の契約が反故になってしまったんですよね?

石橋

……そうなんです。その企業との取引に向けて、ダイイチさんと弊社とで契約を結んだのですが、結果的には取引がなくなってしまい、「こうなったらウチでDF30を売っていくしかない」となったというのが、実際のところです。

松岡

ご尽力、ありがとうございます(笑)。ただ、メーカーとしては試験段階までは進められても、商品化にたどり着くのはレアケースなので、西日本長瀬さんのようなサポートはとても助かります。

石橋

DF30は、開発段階から共同で行い、それを独占的に販売するという、私たちとしても珍しい挑戦でした。販路開拓に近道はないので、地道に営業電話をしたり、展示会に出たり、代理店さんに頼んだり。でもDF30の場合は製品力がしっかりあるので、特性を理解いただければ、継続的に使っていただけるのが強みですね。

“丸投げ”にも対応できるグループ力

西日本長瀬という会社の印象について、教えてください。

山本

相談しやすい。これに尽きると思います。担当者が変われば、当然キャラクターもそれぞれ違うのですが、不思議と相談のしやすさは変わらないかもしれない。

垂水

そこは、私も営業担当として特に気にしているところです。特にダイイチさんは入社して初めて担当したお客さまだったので、事業や製品理解に必死でした。私はもともと文系で、化学系の基礎知識もないので、会話がまったく通じていなかったと思いますが(笑)、ダイイチさんに育ててもらいました。それでもまだまだ半人前ですが。

山本

数ヶ月したら、もうすっかりベテランでしたよ、垂水さんは。開発で新しい原料が必要になって「こんなの欲しいんだけど、取引先ないですか?」と無茶ぶりした時も、ちゃんと検討材料を用意してくれて。そこから試作に発展することもありますし。

松岡

他の商社はそれぞれ得意分野や業界がありますが、西日本長瀬さんは母体に大きなNAGASEグループがありますので、わりと丸投げでも、ちゃんと答えを返してくれる安心感があります。まだ一にも満たない小さなアイデアから、よく相談させてもらって助かっていますね。

今後の西日本長瀬との関係で、期待することはありますか?

山本

弊社はもともと、『よい品を 創意と熱と人の和で』を社是として、この荒尾の地から海の仕事を支援することで発展してきました。ですから、海関連の事業は弊社という自負がありますし、西日本長瀬さんからもそう認識いただいているので、さまざまな最新技術や製品も紹介いただきます。これはとても良い関係性ですね。

石橋

弊社として事業になるかは別として、海関連の情報があれば、共有に伺うようにしていますね。今取り組んでいる海苔養殖のブルーカーボンなども、可能性がありそうです。

松岡

いろんな業界にアクセスできるNAGASEグループとしての強みは、弊社としても大きいメリットを感じています。

石橋

ありがとうございます。その強みを生かして、DF30もしっかりと結果を出して、成功事例を作っていきたいですね。

垂水

私が担当している工業用途のDF30も、新たにランディングページを準備しています。リスティング広告など、ネットにも注力して、これまでにない営業展開をサポートしていければと思います。

※掲載されている情報や部署名は取材当時のものです。