プラスチック情報館
エンプラ、スーパーエンプラの基礎知識
エンプラとは
エンプラとは、従来の汎用プラスチックの弱点であった強度や耐熱性などの問題を克服した高機能なプラスチック群の総称です。エンプラの明確な定義はありませんが、一般的には100℃以上の耐熱性を持ったプラスチックとされています。
1960年代に入ると世界的に工業生産が盛んになり、国内においても高度経済成長期を迎えます。大量生産・大量消費に対応するため、生産品の部材・部品には「安く、軽く、簡単な加工」などのニーズが高まり、プラスチックの金属代替としての可能性が模索されていました。また、同時期には世界各国で大規模な石油化学コンビナートの建設が相次ぎました。そのような時代背景の中、次々と開発されたのがエンプラ(エンジニアリングプラスチック)です。
エンプラの種類とその特性
「プラ図鑑」では各プラスチック素材をより詳しく紹介していますので、是非こちらもご覧ください。
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エンプラの主な用途
PC
ヘッドランプ、CD/DVD/BL、カーポート、ダイアライザーなど
m-PPE
複写機シャーシ、電源アダプター、自動車(外装部品、電装部品)、ポンプ部品
PA6/PA66
合成繊維(ナイロン)、自動車(エンジン回り部品、ダクト)、電気工具
POM
各種電気製品の外装・筐体・機構部品・駆動部品、自動車部品(ギア、シートベルトなど)
PBT
電子部品(コネクター、スイッチなど)、自動車(電装部品など)、合成繊維(ポリエステル)
スーパーエンプラとは
エンプラの出現後、1980年代以降には、より一層、金属代替品としてのニーズが高まります。そのため、さらなる耐熱性、難燃性などが求められるようになり、極めて機能性の高いスーパーエンプラの開発が相次ぎ、そのトレンドは現在も継続しています。
エンプラ同様、スーパーエンプラの明確な定義はありませんが、概ね150℃以上の耐熱性を持つプラスチックとされています。また、難燃性については、米国の製品安全認証企業・UL LLCが認証するUL規格によって評価され、それぞれのプラスチックの用途や利用目的により、その基準が定められています。
スーパーエンプラの種類とその特性
上図の各素材名をクリックして頂くと詳細情報を確認できます。
スーパーエンプラの主な用途
PPA
自動車(エンジン回り部品、電装部品)、センサー部品など
PPS
自動車などの機構部品、バルブ、ポンプ部品など
LCP
電気電子部品(SMTコネクタ、ボビン、リレー)、モーター部品など
PSU/PES
医療用中空糸膜、医療機器部品(内視鏡、透析器など)、食品機械部品など
PEI
自動車(リフレクタ、フォグランプなど)、航空機部品、メガネフレーム、食品耐熱容器など
PAI
産業機器機構部品(軸受・ギア)、自動車(エンジン部品、トランスミッション部品)など
PEEK
インプラント、機構部品(軸受・ギア)、アルミニウム代替部品など
PTFE
調理器具、ガスケット、チューブ、テープ、表面コーティングなど(テフロン)
結晶性樹脂/非晶性樹脂
熱可塑性樹脂は、その分子構造により「結晶性樹脂」と「非晶性樹脂」に分類されます。
結晶性樹脂は分子鎖が規則正しく配列した結晶を持ち、機械的強度が高く、耐薬品性にも優れています。一方の非晶性樹脂は分子鎖がランダムで結晶を持たず、成形収縮率が小さく、透明になりやすいという特長を持っています。
UL規格
UL規格とは、米国の民間企業UL(Underwriters Laboratories)LLCが認証する工業製品や部品の安全基準を示す規格です。元来、燃えやすいプラスチックを金属代替品として使用する際には、難燃性の評価が必要なため、その基準を示したUL規格が重要視されています。
プラスチックの難燃性の評価基準はUL-94において規定され、難燃性に応じてHB規格、V-2/V-1/V-0規格、5VA/5V B規格があります。また、電気製品など発火のリスクが高い部品や、万一発火した際のリスクが高い航空機などの部品には最高ランクの5V以上が求められています。
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