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グリコアルブミン(GA)とは
グリコアルブミン(Glycated Albumin:GA)は、血糖コントロール状態を把握するための指標のひとつであり、過去約2週間の平均血糖状態を反映するとされています。
ナガセダイアグノスティックス株式会社の前身である旭化成ファーマ株式会社診断薬事業部は、独自の酵素法を用いたグリコアルブミン測定試薬「ルシカ® GA-L」を開発し、 2004年より製造販売を開始しました。
2022年、GA常用参照標準物質対応試薬として「ルシカ® GA-L2」が発売されました。
- POINT1 アルブミンは糖化されやすいタンパク質です
- POINT2 平均血糖状態(過去約2週間)を反映し、治療効果の確認に使用されます
- POINT3 他の血糖管理指標と血糖値が乖離する場合に使用されます
POINT1 アルブミンは糖化されやすいタンパク質です
グリコアルブミン(GA)
グリコアルブミン(GA)は血清アルブミンの糖化産物です。
アルブミンは体内に広く存在し、グルコースとの結合率が高いタンパク質です。

図1.ヒトアルブミン構造
アルブミンの糖化部位
ヒトアルブミンを構成するアミノ酸残基のうち、リシン残基(Lys)は59個存在し、主に4ヶ所のリシン残基(上記の図における赤色のリシン残基)が糖化を受けると報告されています1)。
1)Iberg N and Flückiger R, J Biol Chem. 1986;261(29):13542-5.
POINT2 平均血糖状態(過去約2週間)を反映し、治療効果の確認に使用されます。
グリコアルブミン(GA)の血中半減期
グリコアルブミン(GA)の血中半減期は約17日であり2)、 GAは過去約2週間の平均血糖状態を反映します。

図2. GA、HbA1cと過去の血糖との関連 (文献2)より作図)
2)Tahara Y and Shima K, Diabetes Care. 1995;18(4):440-7.
治療効果の確認
強化インスリン療法開始2週間後の時点で、GA値はHbA1c値よりも大きい減少率でした。

図3. 強化インスリン療法患者のGA, HbA1cの時間変化
【対象】 | 初診時無治療の2型糖尿病患者18名(男性:13名/女性:5名) 平均年齢:50 ± 3.8歳, BMI:22.2±1.17 kg/m2 |
【方法】 | 強化インスリン療法を16週間行い、GA、HbA1cの時間推移を観察しました。 |
【統計解析】 | t検定, 有意水準:p<0.05 vs. HbA1c |
3) Takahashi S, et al., Endocr J. 2007;54(1):139-44
POINT3 他の血糖管理指標と血糖値が乖離する場合に使用されます
GAは、アルブミンの糖化産物であるため、透析やエリスロポエチンで治療中の腎性貧血、鉄欠乏性貧血や鉄欠乏貧血の回復期など赤血球寿命が変化する病態の影響を受けません。
一方で、アルブミンの代謝が変化する病態では注意が必要です。
■ | GAが血糖値に比べ高めとなる病態 アルブミン代謝が遅延する疾患:甲状腺機能低下症4)、肝硬変5)、るい痩6) |
■ | GAが血糖値に比べ低めとなる病態 アルブミン代謝が亢進する疾患:甲状腺機能亢進症4)、グルココルチコイド投与7)、 クッシング症候群8)、ネフローゼ9)、高度肥満10) |
4) Koga M, et al., Diabetes Res Clin Pract. 2009 May;84(2):163-7.
5) Miyamoto H, et al., Rinsho Byori. 2008 Sep;56(9):761-6. Japanese.
6) Koga M, et al., Clin Chim Acta. 2007 Mar;378(1-2):48-52.
7) Iizuka K, et al., BMJ Case Rep. 2016 Mar 9;2016 pii: bcr2016214788
8) Kitamura T, et al., Clin Chim Acta. 2013 Sep 23;424:164-7.
9) Okada T, et al., Intern Med. 2011;50(1):23-9.
10) Koga M, et al., Clin Chim Acta. 2015 Jan 1;438:19-23.
GAとHbA1cの関係
2型糖尿病患者の検討において、 GAとHbA1cは下記の関係にあることが報告されています11)。
HbA1c(JDS) = 1.73 + 0.245 GA
例)GAが20%の場合、HbA1c(NGSP*)は7%と算出されます。
*HbA1c(NGSP)=1.02xHbA1c(JDS)+0.25
【方法】 | 2型糖尿病患者154名(2-3カ月毎に来院し、研究期間中3回以上の食後血糖、HbA1c、GAを測定しえた患者。なお、HbA1cの平均値に対してHbA1cが90-110%内の変化であった患者を対象としました。) |
【統計解析】 | Measurement error model(MEM)を用いて回帰分析 y =b0 + b1x, b0=1.73±0.38*, b1=0.245±0.018*, *p < 0.001 |
11) Tahara Y. Diabetes Res Clin Pract. 2009;84(3):224-9.
糖尿病透析患者におけるグリコアルブミン(GA)の有用性
「血液透析患者の糖尿病治療ガイド2012」において、GAは下記のとおり記載されています。
血糖コントロールの意義と指標・目標値(ステートメント)
- 透析開始前の随時血糖値(透析前血糖値)及びグリコアルブミン(glycated albumin ; GA)値を血糖コントロール指標として推奨します。
- ヘモグロビンA1c(HbA1c)値は貧血や赤血球造血刺激因子製剤の影響により低下し、透析患者の血糖コントロール状態を正しく反映しないため参考程度に用います。
- 随時血糖値(透析前血糖値;食後2時間血糖値)180~200mg/dL未満、GA値20.0%未満、また、心血管イベントの既往歴を有し、低血糖傾向のある対象者にはGA値24.0%未満を血糖コントロールの暫定的目標値として提案します。しかし、確定値の設定には今後の研究結果を待つ必要があります。
- 低血糖のリスクを回避しつつ、生命予後の向上を目指して随時血糖値(透析前血糖値)、GA値などを総合的に判断しながら、血糖コントロールをする必要があります。
一般社団法人 日本透析医学会「血液透析患者の糖尿病治療ガイド2012」より抜粋
血糖管理指標の測定頻度(ステートメント一部抜粋)
- GAは1か月に1回測定することを推奨します。
- 非糖尿病患者においても、最低12か月(1年)に1回透析前血糖値およびGAを測定することを推奨します。
日本透析医学会: 日本透析医学会雑誌 46(3): 311-357, 2013より一部抜粋
「血液透析患者の糖尿病治療ガイド2012」において推奨されている血糖コントロール

糖尿病血液透析患者の生命予後とGA
GAとの関係については、下記の報告があります。
Inaba M, et al. Impact of atherosclerosis on the relationship of glycemic control and mortality in diabetic patients on hemodialysis Clin Nephrol 2012. 78 (4), 273-80.
妊婦におけるグリコアルブミン(GA)
正常妊娠におけるGA、HbA1cの基準範囲について

Hiramatsu Y et al., Endocr J. 2012(59):145-151
【対象】 | 574名を対象に正常妊娠の基準範囲を求めました。除外基準としては、糖尿病、肝疾患、腎疾患、血液疾患合併の妊婦、 また、非妊娠時にBMI<18.5、BMI≧25、血圧≧140/90 mmHg、尿蛋白陽性、尿糖陽性の妊婦としました。 |
【方法】 | 平均値±2SDより基準範囲を算出しました。 |
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